春は山菜摘みによる食中毒が増えるシーズン
山菜のおいしい季節ですが、春は山菜摘みで毒草と間違えて食中毒が増えるシーズンです。
食中毒というと、サルモネラ菌などの細菌型や、ノロウイルスなどのウイルス性といった微生物によるもののイメージが強いと思いますが、他にも化学物質によるもの、そして自然毒によるものがあります。自然毒には、フグや貝類の毒による動物性と、そしてキノコや毒草などの植物性があります。毎年、春は山菜、秋はキノコ類による食中毒事件が増えるシーズンです。
自然志向のライフスタイルを求める人が増えており、ガイドも子どもがアトピーであった経験から自然食などにはまりましたが、いろいろと知ると、例えば「天然」「自然」と謳われていれば、なんでも安全だとは言えるものではないということも分かりました。自然毒の中には、重篤な症状や、死に至るものもあります。
園芸種、適切な食べ方にも注意を
過去10年間に、山菜や野菜と間違えて毒草を食べた中毒例については、下の表を参考にご覧下さい。中には、スイセンの葉とニラを間違えるといった、園芸種と野菜を見間違えることもあります。園芸種の中にも、見た目は綺麗でも食べては毒となる植物もありますから、野菜とは混ぜて植えないように注意しましょう。
また身近な野菜のジャガイモは、未熟な時期や芽には毒性成分が含まれています。平成18年に小学校で学校菜園の教材として栽培されたものが、未熟な時期に収穫して食べたために集団で中毒を起こすという出来事もありました。芽が出ていなくても、未熟で表面が緑色をしていたり、ジャガイモに光があたると、ソラニン、チャコニンといった有毒物質が産生されると考えられています。
自家菜園で栽培するときはジャガイモが地表から露出しないように土寄せをしたり、収穫後のジャガイモは暗いところに保存するなどしなければなりません。ソラニンは、加熱してもほとんど分解されないので、未熟で緑色っぽいじゃがいもを調理する際は、皮を厚めにむき、芽が出ている物は特に芽の部分を完全に除去しましょう。
銀杏は食べられますが、子供やお年寄りが一度にたくさん食べるとおう吐、下痢、呼吸困難、けいれんなどを起こした例が報告されています。