お金持ちになれる人がつく良いウソ
伸びる人、引きあげられる人は、平気でウソをつきます。たとえば、ある上場企業 の子会社社長に抜擢された人が係長だったときのことです。その係長は、課長と部長の仲が、とても悪いことに困っていました。そこで部長と一緒にいるときに、彼はこう言いました。「課長が部長のことを、とても尊敬しているって言っていましたよ」と言いました。
「ええ?あいつがそんなこと言うわけないだろう」
「なかなか素直になれないだけで、本心は尊敬しまくっているみたいですよ」
「そうかあ~?(嬉しそう)」
そして別の場で、当の課長といるときに、
「部長が課長のことを、すごいヤツだってほめていましたよ」と言いました。
「へっ?あの部長がそんなこと言うわけないよ」
「あれは部長の照れ隠しみたいですよ。とても頼りにしているって」
「そうか?まあ、そうだろうな(嬉しそう)」
二人とも悪い気はしませんから、少しずつわだかまりも和らいだ、という話です。もちろん、こううまくいくばかりではないですが、険悪な関係をなんとかしたいという彼の配慮です。そんな姿勢があちこちで発揮され、見事に子会社の社長の椅子を手に入れたというわけです。
みんながハッピーになるウソもある
ここで注目したいのは、ウソの本質です。「ウソは良くない」と一般的には言われますが、それは見え透いた言い訳だったり、ダマすなど人を不幸にするウソだからです。しかし前述のように、みんながハッピーになるウソというのもあります。そしてこれは、人間心理に配慮する必要がありますから、相当な頭の鋭さが必要です。もっと簡単なことでもいいのです。たとえばあなたが、あるサークルの部長だとします。「このサークル大好き!」という部員と、「つまんねえサークルだよな」という部員とでは、どちらを信頼するでしょうか。
同じように、どんな経営者も上司も「会社が好きだ!」と言ってくれる社員はかわいいものです。だから「俺はこの会社が好きだ」という人には、チャンスが回ってきます。上司から「疲れたか?」と言われて、本当に疲れていても、「そうですね」とは言わない。「いえ、大丈夫です!」というウソは、上司にはそれが強がりだとわかっていても、頼もしく映ります。
また、幹部から「A社を(営業をかけて)落とせないか?」と相談されたとき、「うーん、むずかしいと思いますよ」と本音は言わない。やらずして、努力を尽くさずして「できない」という志の低さにがっかりされるだけです。そこで、「やってみます!」と言う。幹部は、仮にうまくいかなくても、覇気があってチャレンジする部下の姿勢を頼もしく思うものです。