【下千本】沿道に咲く桜を眺めながら、黒門、銅鳥居を経て蔵王堂へ
吉野の桜と名所を訪ね歩く「吉野さくら散歩」、まずは近鉄吉野駅からスタートします。まずは標高の一番低い下千本へ向かいますが、七曲りと呼ばれる坂道をゆっくりと上っていくか、ケーブルカーで金峯山寺(きんぷせんじ)へ向かう尾根筋の参道に出ることになります。
この後の参道も坂道が長く続きますので、体力に自信のある方以外はケーブルカーを利用することをお薦めします。
ケーブルカーと呼ばれていますが、実はロープウェイ。1929年(昭和4年)開業という日本国内で現存するロープウェイの中では一番古いロープウェイで、日本機械学会から機械遺産にも認定されています。
吉野で一番早く桜の花が咲くエリアなので、下千本の桜が見頃になる時は、ケーブルカーの車窓から桜が山を彩る吉野らしい風景を楽しむこともできますよ。
吉野山(山上)駅からは、お店が建ち並ぶ参道を歩いて、蔵王堂を目指します。メインの参道であり、桜のシーズンは人通りも多いのですが、蔵王堂前の仁王門までずっと上り坂が続きますのでマイペースで歩いていきましょう。
金峯山寺の総門である真っ黒な黒門から銅鳥居(かねのとりい)まできつめの坂を上っていきます。蔵王堂に至るまでの間の参道沿いや、蔵王堂の近くでも桜を見ることができますよ。
日本で二番目に大きい木造建築、金峯山寺・蔵王堂
参道をしばらく歩いていくと、金峯山寺の仁王門がそそり立つように参詣者を出迎えてくれます。この仁王門をくぐった所にあるのが、吉野山のシンボルでもある蔵王堂です。
修験道の開祖と言われる役行者(えんのぎょうじゃ)が創建したと言われる金峯山寺(きんぷせんじ,Yahoo! 地図情報)。金剛蔵王権現をご本尊として祀っており、蔵王堂はその本堂にあたります。
高さ34メートルにも及ぶ木造の建物は、同じ奈良にある東大寺大仏殿に次いで、国内で二番目に高い建築物。国宝に指定され、仁王門と共に世界遺産にも登録されています。
目の前にするとその存在感は圧倒たるもの。広い境内の中にも桜の木がありますので、参拝後にゆっくり桜を愛でると良いでしょう。
ご本尊である蔵王権現像は、古来秘仏としてご開帳されることはありませんでしたが、金峯山寺で最も古い建築仏である仁王門に対する平成の大修理の勧進として、2012年から10年間に渡って春と秋に期間限定でご開帳されています。
この間だけ過去・現在・未来の権化として現れた三体の青い蔵王権現像へ直接お詣りすることができる貴重な機会となりますね。
ちなみにガイドが吉野を訪れた時、下千本では桜のピークをはずしてしまいました。しかし、蔵王堂横の県道沿いでしだれ桜を楽しむことができました。桜の開花時期にあわない時でも、こうやってどこかで桜のある風景が楽しめるのが、吉野の桜のもう一つの魅力ですね。
続いては中千本に向かいましょう。歴史の教科書にも登場する舞台と共に桜を楽しめることができますよ。次ページに続きます。