住宅のイメージを大きく左右する要素の一つが「外壁の色」です。一般的には白色(ホワイト)、灰色(グレー)、茶色(ブラウン)やベージュ色などの系統を使うことが多いでしょう。とくに茶色系は色味や外壁素材の種類が多く、かなりバリエーションに富んでいます。
しかし、「平凡な色使いではつまらない」「もっと個性的な外壁の色にしたい」というケースもあると思います。新築建売住宅であればたいていは無難な色使いになっており、中古住宅であれば目の前にある現物の色を気に入るかどうかですから、外壁の色で悩むのは注文住宅を建てるとき、あるいは外壁リフォームをするときかもしれません。しかし、外壁の色は個人の好みだけではなく、周囲の住宅と調和するかどうかも大切です。風致地区の指定や建築協定などによって、外壁の色使いが制限されることもあります。
ここでは、街の中で実際に見られる外壁の色を取り上げ、一般的な白、灰、茶、ベージュ系以外の外壁の色について考えてみることにしましょう。ただし、人によって色の感じ方は違うものです。また、私自身は色の専門家ではありませんし、色に関する見解はあくまでも個人的なものですから悪しからず…。
【黒色(ブラック)、紺色(ダークブルー)】
灰色(グレー)よりは少ないものの、真っ黒な外壁の住宅も比較的多く見られます。艶消しの黒は落ち着いて上品な印象ですが、これに光沢が加わると少しキツイ感じになりかねません。また、洗練されたデザインではなく、平凡な造りの住宅を黒くしただけだと、ただ単に暗いイメージとなってしまうこともあります。黒に近い青である紺色も、黒色に似た印象ではないでしょうか。
【青色(ブルー)系】
青色の外壁の住宅も、都市部では最近よく見かけるようになってきました。パステル調の少し薄めの青色であれば回りの住宅とも合わせやすいでしょうが、強い色味の水色だと、かえって浮いてしまう印象も拭えません。さらに、いかにも「青」といった感じの鮮やかな青色だと、一般的な住宅街では色味が強過ぎるようです。色を抑えて少し渋みがかった感じにすると、とても落ち着いて見えるでしょう。
【緑色(グリーン)系】
緑色系の住宅外壁も比較的多いでしょう。木々の緑のイメージもあるため、街並みに溶け込みやすいと考えられがちかもしれませんが、色味が強かったり黄緑のような色合いだと、少しキツ過ぎる印象もあります。
緑色系でも、あまり「緑」を感じさせない薄い色合いや、逆に深緑といった感じの濃い色であれば、回りの住宅とも合わせやすいと思います。
【黄色(イエロー)系】
黄色系の外壁は、クリーム色のような薄い色合いなら純粋な住宅街の中でも違和感はありません。しかし、色味が強くなるにつれ、回りから浮き上がってしまう印象です。濃い黄色にするときには、周囲とのバランスをよく考えることも必要です。
【橙色(オレンジ)系】
たまに見られる橙色の外壁ですが、茶色系に近い色合いならそれほど問題はないでしょう。しかし、明るく鮮やかな色になるにつれ個性は際立つものの、回りの住宅とは雰囲気が合わなくなりがちです。純粋な住宅地では避けたほうが無難だと思います。
【桃色(ピンク)系】
人によって好みが分かれるところでしょうが、ワンポイントに使うピンクや、淡く肌色に近いようなピンク、あるいは少し薄めのパステル調のものであれば綺麗に感じられます。しかし、色味が濃くなるにつれて急速に回りと合わせづらくなるようです。使い方が難しい色の一つでしょう。
【赤色(レッド)系】
「赤い屋根」と「赤い外壁」とでは、かなりイメージが違うものです。艶消しの赤は単体で見るとなかなか素敵です。しかし、隣家との距離があるような場所なら綺麗に映えることもありますが、住宅密集地では少しキツイ感じです。とくに赤みが強い場合、あるいは光沢のある塗料の場合は、商店街などであれば問題がなくても、住宅街では強い抵抗感を抱く人もいるため気をつけなければなりません。
【紫色(パープル)、多色使い】
淡い紫色であればさほど問題はないでしょうが、これが濃くなると難易度はだいぶ上がり、住宅街で使うときのハードルは相当に高いでしょう。また、最近は2色に塗り分けられた外壁も多く見かけるようになっていますが、これが3色以上になると、その組み合わせが難しく、色選びのセンスに大きく左右されることにもなります。
外国では、パステル調のさまざまな色の家が並んだり、カラフルな家が数多く見られたりして、とても明るく楽しい雰囲気の街並みもありますが、日本の住宅地ではなかなか難しいようです。少し派手めの色を使おうとする場合には、近隣との間で感情的な問題を生じないように配慮をすることも必要です。中古住宅として売るときには、外壁の色がその流通性を損なうケースもあることを考えなければなりません。
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