交通の利便性がアップ
神奈川、都心、埼玉方面の最長88.6キロが直結
2013年3月16日、東急東横線の代官山~渋谷間の1.4キロと東急渋谷駅が地下化、東京メトロ副都心線と相互乗り入れが始まりました。これによってみなとみらい線、東急東横線、東京メトロ副都心線、東武東上線、西武有楽町線・西武池袋線が1本でつながることになります。駅で言うとみなとみらい線の元町・中華街駅から西武池袋線の飯能駅、東武東上線の森林公園駅まで。沿線にある観光地、商業施設はこれまでより、広い範囲から集客が見込めることになりますし、住宅選びも乗換え無しで行ける範囲が広がったことになります。
さらに東急東横線は2019年4月に相鉄線との相互乗入れをする予定。これはJR東海道貨物線横浜羽沢駅付近と東急東横線日吉駅間に連絡線(約10.0km)を新設、相鉄線西谷駅とJR東海道貨物線横浜羽沢駅付近間に連絡線(約2.7km)を新設することで、相鉄線と東急線が相互直通運転を行うというもの。横浜市西部から神奈川県中央部と東京都心部が直結されることになり、そこからさらに埼玉方面へと考えると、壮大な新動脈が作られることになるわけです。
こうした延伸、相互乗り入れによって1本の路線で行ける範囲は広がり、便利にはなりますが、一方で通勤時間帯の混雑状況の悪化、事故が遭った時に不通となる区間の拡大なども考えられます。関係する鉄道会社にはこうした不具合が発生しないよう、一段の注意、努力を期待したいところです。個人的には東急東横線の混雑がなんとかならんか、です。
ちなみに横浜から新宿、池袋などへは湘南新宿ラインも利用でき、見事にバッティングする路線ということになりますが、料金的には東横・副都心が有利で池袋~横浜間では170円安く、本数も3倍近く。ただ、時間的には湘南新宿ラインが3分ほど早いそうで、朝の通勤ラッシュ時には12分早く、さらにグリーン車で快適に座って通勤するという手も。時間帯、混雑具合、目的地、懐具合(?)などに合わせて使い分けるのが賢明ということになりそうです。
利便性向上に伴い、
住宅事情にも変化が起きる?
交通の利便性は当然、住宅選びにも大きな影響を与えます。様々なデータから、交通の利便性の高い場所は資産価値を維持しやすいという結果も出ています。であれば、今回の相互乗り入れで影響を受ける場所はどこでしょう。
横浜方面、埼玉方面を結ぶハブとなる東急東横線、東京メトロ副都心線の存在意義は非常に高く、この2沿線の価値がこれまで以上に高まるのは自明の理ですが、この2沿線はすでに地価、住宅価格の高いエリア。予算のある方なら、この2沿線に買っておけば間違いはありませんが、なかなか手が届かないのが現実かもしれません。
そこで目を向けたいのが西武池袋線、東武東上線沿線。まず、注目はこの2路線のターミナル、池袋。この街では区役所移転に伴い、玉突き状態で開発、整備の予定があり、この後が楽しみです。
西武池袋線沿線ではここ何年か、石神井公園、大泉学園、ひばりが丘その他、駅周辺の再開発、建て替えなどが行われ続けており、そこに利便性向上が加わるとなると、人気の上昇するエリアも出てきそうです。ちなみに同沿線が通る自治体としては練馬区、西東京市、東久留米市、清瀬市、東村山市から埼玉県所沢市、入間市、飯能市など。都心通勤を考えると所沢市あたりまでが中心になりそうです。
東武東上線最大の観光地、小江戸川越は来訪者獲得のため、イベントを開いて認知度アップを図っている
また、今後、相鉄線と東横線の乗り入れが完成すると、横浜市保土ヶ谷区、旭区、瀬谷区から海老名市にかけての相鉄線沿線エリアの利便性は大いに向上します。
渋谷駅地下化をきっかけに
渋谷全体が大きく変貌
渋谷駅周辺も大きく変わります。まず、鉄道関係でいえば、銀座線が現在よりも西側、ヒカリエ側に移動、島式のホームになります。これによってJR渋谷駅にスペースが生まれ、そこに埼京線ホームが移動します。渋谷駅と言いながら、遠く恵比寿方向に寄っていた埼京線が同じ駅構内に収まり、便利になるのです。
さらに駅周辺の建物も変わります。すでに東急東横線渋谷駅1階の東急のれん街は2013年4月にマークシティ地下に移動することが決まっており、その上にある東急東横店も東館(ヒカリエ側)から順次建替えされます。最終的には今後14年をかけて地上46階建てを筆頭とする高層ビル群に替わる予定で、渋谷駅を挟んで2棟、国道246号を挟んだ駅の向かい側に2棟、東口側のバスターミナルに隣接したエリアに1棟と、現時点では5棟が計画されています。
同時に東西それぞれの交通広場や歩行者デッキの整備、国道246号の拡幅や渋谷川の整備なども計画されています。計画の全貌については渋谷区の渋谷駅中心地区基盤整備方針に詳しく紹介されていますので、興味のある方は参考にしてください。
池袋、新宿、渋谷、横浜などの駅間の
競争も激化する
今後大きく変わる予定の渋谷駅。現在東急東横店がある部分に駅を挟んで2棟、首都高、246号を挟んで2棟、そして駅の向こうに1棟の高層ビルが建つ予定だが、今の状態で見てもなかなか想像ができない(クリックで拡大)