総勢28人!キッズエネルギーが圧倒的な『アニー』
丸美屋食品ミュージカル『アニー』2013年版製作発表で勢揃いした出演者たち。Annie2013(C)NTV
大恐慌の直後、孤児院育ちの11歳の少女アニーが、持ち前のポジティブシンキングと機転とで逆境から脱出。そこに運も手伝って、思いがけない幸せが訪れる…。希望に満ちたストーリーと、『トゥモロー』『NYC』など、帰途、ハミングしたくなるような親しみやすいナンバーが魅力の本作は、トニー賞では作品賞を含む7部門を受賞。ブロードウェイで2,377回にも及ぶロングランを記録しました。日本でも78年に初演され、86年からは毎年上演されています。
日本版の見どころは何と言っても、毎年約9,000人が応募するというオーディションで選び抜かれた子役たちの、溌剌とした演技。冒頭の孤児院シーンでは、恵まれない状況下でもたくましく生きる女の子たちが愛らしく、アニーが大富豪ウォーバックスさんに連れられ、初めてブロードウェイのショーを観るシーンでは、タップキッズたちがぴったり息の合ったダンスを見せます。
今年の公演は4月に開幕。先日の製作発表では、アニー役を演じるWキャストの一人が11歳にして「6回目のオーディションでアニー役に合格して、嬉しいです」と語り、並々ならぬガッツを印象付けました。もちろん、味わいのある歌唱で安定感抜群、今年で8年連続出演となるウォーバックス役の目黒祐樹さん、アニーを敵視する孤児院のミス・ハニガン役の佐藤仁美さんら、大人の共演陣も華やか。「明日はきっとくる」と、素直に信じたくなる舞台となることでしょう。
子どもたちが「音楽と出会う幸福」を体現する『サウンド・オブ・ミュージック』
劇団四季『サウンド・オブ・ミュージック』より。撮影:阿部章仁
深刻な物語にも関わらず、人々が今もなおこのタイトルを聞いて心浮き立つのは、リチャード・ロジャース(作曲)&オスカー・ハマースタイン(作詞)による美しい音楽、それにトラップ家の7人の子供たちの存在によるところが大きいでしょう。「エーデルワイス」「ひとりぼっちの羊飼い」など、音楽の教科書にも出てくるほどよく知られたナンバーは、いずれも管弦楽の伴奏がふさわしい上品なメロディで、クラシック音楽の国オーストリアという設定にぴったり。
そして16歳から5歳までの7人の子供たちは、はじめは妻を亡くした悲しみから厳格になってしまった大佐の指示で、笛に併せて行進ばかりさせられていますが、新しい家庭教師としてやってきたマリアが「ドレミの歌」を歌うと、たちまちそのとりこに。音楽の楽しみを知った子どもたちはみるみるうちに生き生きと輝き、トラップ大佐ばかりか観客まで、音楽の持つ力というものに感動を覚えずにはいられないのです。
現在、上演中の劇団四季版に出演している子役たちは、最年少が2006年生まれ。プログラムには「歯医者さんになりたい」「ピザ屋さんになりたい」などとかわいい夢が記されていますが、ひとたび舞台に立つと、正確に音程をとり、歌い踊る姿に驚かされます。
兄弟たちが仕掛け時計のように動きながら、一人ずつコーラスを抜けてゆく「さよならまたね」は、一幕では来客たちへの微笑ましいだしものとして歌われますが、二幕では一家がナチスの目をかいくぐり、国外へ脱出するトリックとして再登場。ここで子役たちのきっちりとした演技が生き、物語のスリルが増すのです。彼らはただ愛らしいだけでなく、舞台をさらにドラマティックに盛り上げる存在だと言えるでしょう。一つの役には数名がキャスティングされていますが、小柄ながら全身で「音楽の喜び」を表現するマリア役・笠松はるさん、生真面目さとあたたかさの両面を滲ませるトラップ大佐役・深水彰彦さんら、大人のキャストも役者揃いです。
【公演情報】
丸美屋食品ミュージカル『アニー』2013年4月20日~5月6日=東京・青山劇場、8月8日~14日=大阪・シアター・ドラマシティ、8月18日=鳥取・とりぎん文化会館梨花ホール、8月23~25日=名古屋・愛知県芸術劇場大ホール http://www.ntv.co.jp/annie/
『サウンド・オブ・ミュージック』上演中~5月6日=東京・四季劇場「秋」http://www.shiki.jp/