住宅設計・間取り/住宅設計・間取りのテクニック

「コートハウス」は都会のオアシス?(2ページ目)

密集した住宅地で、プライバシーを守りながら広々とした中庭と、明るい採光をとれる家。それが「コートハウス」です。 都市型のコートハウスの実例をもとに、その魅力を紹介します。

塩野 哲也

執筆者:塩野 哲也

空間デザインガイド

コートハウスならではの採光を考える

リビング
南棟の室内採光は、三角屋根のてっぺんからの窓(ハイサイドライト)から取り入れる
コートハウスのデメリットとして、外に開いた窓が少ないことがあります。そのため、少ない(小さい)窓からどう採光するかが、インテリアを豊かにする大きなポイントです。

ここで気をつけたいのが、明るさの質を考えることです。たくさんの光が入ればいいかというと、そうではありません。例えば西側の太陽光(西日)は不快なことも多いですし、南側の光が強すぎて、カーテンやブラインドを閉じたままにしたケースも見ます。


ハイサイド
光の表情が時刻と季節で変化する楽しみがある
窓は日光を最大限入れるための物ではなく、光をコントロールするための物です。この家では、南棟の三角形の屋根が吹抜けになっていて、キッチン・ダイニングのスペースです。通常は南面に大きな掃き出し窓を設けますが、ここにはありません。そのかわり、三角形のてっぺんの位置に「ハイサイドライト(天井に近い、高い位置にある窓)」をつけています。ハイサイドライトの効果は、周りの環境の影響を受けにくいことと、光の表情を楽しめることです。

小窓でも、あると無いとはぜんぜん違う

階段
階段のハイサイドライト。暗くなりがちな階段に豊かな光を与えている
今後隣家が建っても、窓が高い位置にあるので、採光が妨げられません。南面の広い窓は確かに魅力ですが、景観がよいと限りませんし、カーテンなどで塞いでしまえば日差しは入りません。ハイサイドライトなら、景観を気にせずに、刻々と移りかわる日差しの表情が楽しめます。 洗面所や階段など、小さなスペースにもハイサイドライトを取り入れています。高い位置の窓というと「天窓」が代表的ですが、コストが高いのが難点です。ハイサイドライトは、サッシュ自体は通常の物が使えるので、コストがあまりアップしません。また、雨漏りなどの心配も減ります。

例えば、2階にあがる階段の「ハイサイドライト」は、とても小さな窓ですが、明かり取りとして大きな役目を果たしています。階段の天井部分など、普通は暗くなりがちな所に採光があると「豊かな明るさ」を感じることができます。

荒木毅さんは、この他にもコートハウスを多く設計しています。その実例は、都市部の住宅地でプライバシーを守るためのよい参考になります。

荒木毅さんのホームページ http://www.t-araki.co.jp/

 

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