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玄関椅子でおでかけ楽々(2ページ目)

靴を脱いだり履いたりは、立ったままでは大変です。椅子に腰かければ楽に靴がはけます。もう玄関先でケンケンはやめましょう。

塩野 哲也

執筆者:塩野 哲也

空間デザインガイド

玄関は意外と多目的な空間

いま主流のプランでは、玄関の広さは1坪ほど(約2畳)が平均になっています。玄関に余分な面積はとれないのが現実でしょう。しかし、玄関の役割は思っている以上に多様なのです。

■収納機能:靴(4人家族で平均50足ほど)やゴルフバッグ、傘、レインコートなど
■接客機能:近所の方との軽い会話や回覧板の受け渡し、宅配便の受け取りなど
■出入りする機能:家族の送り迎えをしたり、来客を迎える
■防犯機能:不審人物をシャットアウトして、出入りを制御する
■家の顔としての機能:家の生活スタイルを示す(飾り物や絵画、植栽などで表現)

ざっとあげただけでも、これだけの事が集約されています。1坪では間に合わないはずです。

日本に玄関はなかった

玄関先
玄関は明治時代から一般に広まりました
そもそも玄関という言葉の意味はなんでしょう。玄関の「関」には関所などの、外と隔てるという意味があります。そして「玄」は仏教の禅宗を示しているそうです。つまり玄関とは禅宗への入口という意味で、はじめは寺院の門を玄関と呼んでいましたが、やがて武家屋敷の入口を示すようになり、一般の家にも使われるようになりました(JAFICA刊「玄関の椅子」より)。

日本の家に玄関が登場したのは、平安時代以降です。それ以前の屋敷は広縁に囲まれていて、どこからでも出入りしていたと推測されています。やがて武家の家に格式を重んじた玄関が登場しますが、明治になるまで庶民の家は玄関を作ることを禁じられてきました。

江戸時代の農家を見ると、出入り口には広い土間があります。土間は農機具など外で使う道具の収納場所も兼ねていました。来客は簡単な用事であれば土間や広縁で済まし、大切な時にだけ履き物を脱いで家にあがったわけです。こうした習慣は、いまの玄関にも受け継がれています。

便利な玄関クローゼット

プラン
玄関クローゼットの例。参考:三協立山アルミ一新助家
最近の玄関のプランでは、玄関脇に土間式のウォーキングクローゼットや大型収納を設けたタイプが増えています。クローゼットには、コートや帽子、防寒着などを掛けておきます。外出着を玄関に置くことで、ホコリや花粉などが室内に入ることも防げます。

大型収納には、ゴルフバッグや園芸用品、三輪車、スポーツ道具などをしまっておけます。また普段使わない靴を入れておけば、靴箱がすっきりと使えます。

玄関を靴脱ぎ空間としてだけではなく、機能的な空間として考えることで、スペースを有効に使うことが出来ます。広い玄関は生活にゆとりを感じさせ、家全体を広く感じさせる効果があるのです。

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