住宅設計・間取り/住宅設計・間取りのポイント

動線次第で家が変る。おすすめは回転動線

住宅のプランニングを考えるとき、最も大切になるのが「動線計画」です。動線ってなんでしょう。基本的な事柄から実際のプランニングのコツまで解説します。

塩野 哲也

執筆者:塩野 哲也

空間デザインガイド

動線計画ってなに?

動線とは、住宅の中で人が歩く道筋です。廊下も動線のひとつですが、部屋にも動線があります。リビングを例にとれば、リビングに入って、ソファに座り、テレビをつけて、キッチンやトイレに行くために歩く道筋が動線です。また部屋から部屋へ移動するのも動線です。

この道筋をプランすることを「動線計画」といいます。この計画しだいで、暮らしやすく無駄のない、効率的な家ができます。動線を考えずにプランしてしまうと、移動するのが面倒な、活気のない家になってしまいます。

今回は、部屋と部屋をつなげる動線について考えます。動線の基本になるのは、玄関からリビング、キッチン、風呂・洗面、寝室などへの動線です。部屋同士を廊下でつなげるのが従来の動線でしたが、最近のプランは出来るだけ廊下を少なくする傾向があります。

理想の動線は「回転動線」

回転動線1
回転動線の一例。外通路を設けることで、外と内が一体となった雰囲気をだす

面積が充分にとれない家の場合、理想的な動線は「回転動線」だと言われています。回転動線とは図のように突き当たりのない、回遊できる動線のことです。突き当たりがありませんから、子供が立ち止まることなく遊び回れます。

上の例は、リビングが2階にある住宅です。中央にデッキを設け、その回りを回転動線で結び、リビング、キッチン、子供スペース、トイレ、洗面、寝室、クローゼットを配置しました。デッキ(外)も動線に取り入れています。

建て込んだ住宅地でも、デッキから各部屋に自然光が入ります。デッキ越しに向こうの部屋が見えますから、全体の空間を一体化する効果もあります。

子供部屋も通路として開放する

回転動線を成功させるコツは、できるだけ廊下を作らないことです。ドアを少なくして空間同士のつながりを見せることで、全体の奥行き感が増します。子供部屋もオープンにして、通り抜け出来るようにすると、子供の閉じこもりを防ぐ効果が期待できます。

このプランでは、子供部屋を仕切らずに廊下の一部のようにしています。キッチンから子供の様子がうかがえますし、リビングからもデッキ越しに雰囲気が伝わります。ダイニングとの間に、高さ90センチ程の間仕切り収納を置くと、ある程度子供のプライバシーも確保できます。

子供部屋を壁で仕切らなければ、子供が独立したときに、そのスペースをすぐに有効活用できます。独立した子供部屋は6畳ほどのケースが多いので、その後の用途に困ることも多いのです。

次のページで、階段を中心としたプランを紹介します。
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