玄関ドアから引き戸へ
引き戸の玄関は、ドアとは違う日本の美を演出する。新日軽のFACE WA STAGEより |
玄関はセレモニーの場所でもありました。家族が出かけるとき、帰ったときの挨拶には特別な意味がありますが、今は家族を出迎える習慣は皆無に近いのではないでしょうか。
その原因のひとつは、玄関ドアにあるのかもしれません。以前の玄関は引き戸が大半でしたが、今はドアが主流です。この玄関ドアというのがくせ者で、日本流のセレモニーを難しくしています。引き戸というのは、あいまいな分かれ方、出会い方ができる道具です。ドアは開ける、締めるの2種類しかありませんが、引き戸には半分閉める、ゆっくり閉めるなど様々な開け閉めのバリエーションがあります。
引き戸によって家族への思いやりを示したり、大切なコミュニケーションを保ってきた歴史が日本にはあります。玄関に引き戸を採用すれば、こうした別れ方の演出も楽しめます。少し前は防犯性の問題から引き戸を敬遠することもありましたが、今の玄関引き戸は防犯性も高く、動きもスムーズです。将来車椅子を使うようになった場合も、間口の広い玄関引き戸にしておけば出入りも楽になります。
第2の玄関で動線問題を解決
勝手口用の引き戸もある。トステムの勝手口玄関戸ガゼリアNより |
またメインの玄関を広くとれない場合は、第2の玄関「勝手口」を有効に配置する方法もあります。勝手口はキッチンやユーティリティーに設けることが多いのですが、例えばガレージ等、趣味のスペースと母屋をつなぐ出入り口など、夫がよく利用する場所に設けるのも効果的です。
汚れたまま玄関を出入りしたり、工具や大工道具などを持ちながら玄関に入る必要がなくなり、メインの玄関を傷つけたり、汚したりするトラブルを解消できます。