サブベッドルームという発想
書斎に置いても違和感のない、ベッドらしくないベッド。ゆるやかな「夫婦別寝室」を検討する際は、仮眠だけでなく、夜のベッドとしても使えるタイプがいい。IVANOREDAELLI(問い合せ先:CUUMA) |
メインの寝室をホームシアター的なエンターテインメント空間にするならば、子供部屋をサブベッドルームとして活用するのはいかがでしょうか。日中でも家事の合間に一休みしたり、ゴルフ練習の後で一眠りなど、ちょっとした睡眠をとりたい時があります。
ただしリビングのソファで横になってしまうのは、夫婦だけとはいえ気がひけます。そこで、ちょっとした仮眠用のベッドを使うと、心地よいシエスタ(午睡)のゆとりを持つことができます。
仮眠にはベッドではなく、デイベッドと呼ばれるフラットなソファが適しています。デザイン性の優れたものもありますから、寝室とは違う感覚で部屋づくりができます。例えば子供部屋が6畳ほどある場合、空いたスペースにクローゼットやドレッサーを置いて身繕いの空間にしたり、夫のためのホビースペースや書斎に利用することもできます。
夫婦別寝室という選択も……
空いた子供部屋を最大限に利用する方法のひとつは「夫婦別寝室」にすることです。夫婦同一寝室は家族生活の基本です。しかし夫の退職後は、日中に共に過ごす時間が長くなります。やっと二人の時間を楽しめるようになった一方で、一人で過ごす時間も必要になる訳です。これを我慢してしまうと、夫婦間のストレスが溜ってしまいがちです。それを防ぐためには、ゆるやかな夫婦別寝室という選択肢もあります。例えば普段は別々の寝室を使いながら、ゆっくりと映画を観たい夜など、イベントとして同じ寝室で過ごすライフスタイルです。
こうした工夫によって、家族の減った日常の中でも、夫婦の距離感を上手くとり、互いの人間性を尊重したライフスタイルを実現できるのではないでしょうか。
それぞれの時間とコミュニティーを大切に
仕事と家庭という2つの世界を生きてきた日常は、退職によって、自分自身の世界へと集約していきます。その時間を充実させるポイントは、新たなコミュニティをいかに作っていけるかでしょう。会社から帰ってリビングで寛ぎ、その後寝室へという生活パターンは一変し、在宅時間が多くなるほど、個人のスペースが大切になります。夫婦別々の寝室という選択は、パーソナルな暮らしを支えるベースになる可能性も含んでいます。
一方でリビングは社会に開かれた空間として、コミュニティーを充実させる応接間という本来の機能のために使われるでしょう。ヨーロッパでは一昔前まで、寝室に入るとき以外は靴を脱がなかったそうです。リビングはあくまでパブリックな場所、寝室は完全なプライベートという考えです。
家族の暮らし方が大きく変化していく中、こうした公私のメリハリを考えていくことは、間取りを考える上でますます大切になっていくのではないでしょうか。
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