歴史と共に歩むという姿勢、新美術館
Neues Museum
ベルリン・ミッテ地区にある博物館島を構成する館の一つ、新美術館は第二次世界大戦時に破壊された建物を修復し、2009年に再オープンしました。博物館そのものとしても、現代史の証人的存在としても興味深い場所です。建築修復の好例
修復を手掛けたのは、イギリス人の建築家、デビッド・チッパーフィールドです。私はこの作品についての彼の講演の際に見た大階段の空間に興味を持ち、ベルリンへ出かけました。実際に、その空間に身を置いてみると、もちろんその修復の手法も非常に興味深いのですが、それに加えて素晴らしいと思うのが、見学がしやすいということです。メインである展示室の構成、展示方法はもちろん、トイレやロッカーなどのサービス部分も非常に使いやすい印象でした。
充実の展示内容
さて、展示内容は考古学や民俗学の分野がメインとなっています。古代エジプトのコレクションの目玉といえる、『王妃ネフェルティティの胸像』には一室が充てられています。王妃の胸像の美しさは何千年もの時を経ても失われず、まさに静謐そのものというような場を創り出しています。そしてこの新美術館の修復の「顔」ともいえる、大階段ある空間の存在は圧巻です。修復が物語るもの
また、博物館の修復について解説するコーナーも設けられています。新美術館は、第二次世界大戦での戦災による被害で、長らく廃墟のままになっていました。東西ドイツ統一後からの再建計画によって実現した修復では、建築、そして内部の展示室は戦災で失われた部分はそのままに修復されています。
展示されている破片や写真を見ると、場所によっては既に建物の形を成していない、がれきそのものの部分もあります。それをほぼ元通りに近い姿へ修復するのは、不謹慎な言い方ですが、巨大なパズルを組み立てていったかのようです。
それほどの労力を注ぐことが可能だったのは、この博物館島を構成する美術館・博物館群が重要な存在であることの証左でもあるのでしょう。
■Neues Museum
・住所:Bodestraße 1 10178 Berlin
・公開時間:【月~日】10:00~18:00(木のみ ~20:00)
・アクセス:Sバーン最寄駅フリードリヒシュトラーセ駅、ハッケシャー・マルクト駅、Uバーンフリードリヒシュトラーセ駅
・URL:http://www.neues-museum.de