マンション相場・トレンド/マンショントレンド情報

東日本大震災から2年 何が変わった?後編(2ページ目)

東日本大震災発生から2年間を経た今、新築マンションの商品企画にどんな変化をもたらしているか。後編では、ディベロッパー各社の最近の取り組みを紹介します。

岡本 郁雄

執筆者:岡本 郁雄

マンショントレンド情報ガイド


「環境」「防災」をテーマに
太陽光発電機やEV充電器を採用

三井不動産レジデンシャルは、昨年7月に三井のマンションスマートビジョンを発表し、環境負荷を低減する「環境共創プログラム」と安心安全を築く「複層防災プログラム」の構成で、サスティナブルな暮らしの実現に導く、独自の仕組みを提案しています。

環境共創プログラムは、創エネ、省エネ、蓄エネとエネルギーマネジメントでエネルギーを総合的に考える工夫を行うエネルギーデザイン、パッシブデザイン、モビリティデザイン、コミュニティデザインの4つで構成されています。

全マンションへの標準化のメニューとして、太陽光発電設備、エネルギーの見える化、非常用蓄電池などを採用します。エネルギーの見える化に関しては、「パークシティ柏の葉キャンパスシティ」において、電気の使用量が約10%程度低減するなど有効性が実証されています。

電気自動車

電気自動車のカーシェアリングは今後増えそうだ

同社では、「パークホームズ大倉山」や「パークタワー西新宿エムズポート」で、マンション全体で使用するエネルギーの最適制御する「MEMS(マンションエネルギーマネジメントシステム)」および「HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)」を導入。今後の標準化を目指しています。また今後の電気自動車やプラグインハイブリッドカーの普及を見据えEV充電器を標準装備。EVカーシェアリングにも取り組んでいます。停電時の電力として共用部に給電するシステムも採用しています。

こうしたEV車を活用しての給電や創エネルギーの活用は、ほかのいくつかのマンションでも採用されています。テクノロジーの進化は、マンションライフの形も変えつつあるようです。

「遮る」と「活かす」
パッシブデザインの重要性が増す

震災から2年が経ち、エネルギー価格の上昇によって電力会社の値上げの申請が相次いでいます。マンションでは、自然のエネルギーを活用して快適な暮らしを実現させるパッシブデザインの動きが進んでいます。

断熱性の高い「エコガラス(Low‐Eガラス)」の採用や断熱使用の採用とともに壁面緑化や緑のカーテンの活用による熱の遮断するとともに、風の通り道の確保や打ち水ブロック、ミスト散布などによって、エネルギーを消費せずに快適性の向上に努めています。

防犯性を担保しながら窓が開けられるパッシブウィンドウや玄関ドアのスリット、可動ルーバー面格子などを採り入れているマンションも目立つようになってきています。外構部の植栽や中庭の充実も蓄熱を抑え、暮らしの快適性をアップさせるパッシブデザインの一つの形です。


「ライオンズ仙台レジデンス」

108戸が即日完売した「ライオンズ仙台レジデンス」(完成予想図)

2013年2月16日に販売がスタートした、宮城県仙台市の新築マンション「ライオンズ仙台レジデンス」(大京)は、108戸全戸が即日完売しました。2棟連結免震構造「O-MIC」やオール電化、防災井戸、防災備蓄庫、自家発電機を備えた防災に十分配慮した商品企画が、被災地である仙台の方に評価されたとのことです。

震災から2年が経ち、あの日の記憶は徐々に薄れつつあるかも知れませんが、そのあまりにも大きな教訓は今の新築マンションのあり方に大きな影響を与えているのです。



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◆東日本大震災から2年 何が変わった?前編


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