耳に心地のいいエグゾーストノート
ネバダ砂漠のオアシスに作られた、これぞ非日常世界の典型というべき“シン・シティ”。ストリップのホテルから、いかにもアメリカ人好みのボディカラー(薄茶メタ)をしたGTスピードコンバーチブルを借り出し、一路、ルート66を目指す。相方は、旧知のイタリア人新聞記者パオロだ。もちろん、オープンにして走り出す。アメリカは特に速度制限の取り締まりが厳しく、パトカーに追っかけられでもしたら、ひとつひとつの対応が面倒くさそうだし、日本の警察相手のような態度を取ったらヤバそうだ、ということだけは分かるので、ゆっくりと走る。ただでさえ目立つので、絶対に制限速度以内。いたるところにパトカーや覆面もいて、陽気なパオロも少しビビり気味。
街を出れば、そこは砂漠。オリーブの木のないスペインのようでもあるけれど、広大すぎる土地が最大の違い、だ。ところどころ地平線も見えていて、ああ、やっぱりアメリカってデカいな、とつぶやいた。
あらためて、ベントレーコンチネンタルGTスピードコンバーチブルの概要を紹介しておこう。GTクーペと同様の理屈で、ノーマルGTCをベースとする。すなわち、白眉は4シーターコンバーチブル世界最速を目指して625psまでパワーアップされたW12ツインターボエンジンだ。
ノーマルGTCとの違いは、ノーマルGTとGTスピードのそれに準ずると思ってもらっていい。ダークティントのマトリックスグリルや21インチタイヤ&ホイール、10mm下げられた車高に上品なネガティブキャンバー、特徴的なエンドパイプ、などである。モデルライフを通じて強力な制動力を発揮するブレーキシステムには、カーボンコンポジットディスクを採用した。
前後のサイドウィンドウとリアディフレクターさえ上げておけば、室内への風の巻き込みは最小限に収まる。ハイウェイにもそのまま乗ったが、時速60マイル(およそ100km/h)以内で走っているかぎり、いたって快適だ。
乗り心地の悪化も見られない。エアサスペンションのダンピングモードをコンフォートよりにしてしまうと、アシがバタつく場面も少なからずあったが、スポーツよりにすればかえってひき締まって、良好なライドフィールを得た。ハーフスロットル以下でも、耳に心地のいいエグゾーストノートが聞こえてくる。