政策標語としての「イクメン」

赤ちゃんと夫婦

イクメンは「行き渡った」のだ!と信じたい

「イクメン」というキャッチーなタームが一種の政策標語として優れていたのは認める。そして私は個人的に、その方向性をずっと応援していた。自分の子どもと配偶者を横目に見ながら育児の協力に必要性を感じていない男親、そしてそれを男らしさとはき違えて誇りさえする男親は未だに老いも若きもたくさんいて、ちょっとうんざりしていたからだ。イクメンいいぞ、だから私は外野から色々な声が聞こえていても、イクメンという概念が持つベクトルの正しさを信じていた。

だけど、イクメンはしぼんだ。言葉として失速した。途端にメディアでも見かけなくなり、積極的に名乗る男性も見なくなった。

イクメンは死んだのか? いや、概念として「行き渡った」のだ、と私は信じたい。広く行き渡ったからこそ、広く賛同も批判も受けた。だから言葉が失速したのだ。団塊ジュニアや76(ナナロク)世代の乳幼児育児が落ち着いたら、その下の世代では、殊更に育児をしていますと主張しない男親が増えるのかもしれない。自分の子どもを配偶者と一緒に育てるのが感覚的に当たり前だと思う層が、下の世代にぐんぐんと育っているのかもしれない。私はそう願い念じる。

ママ友という擬似ホモソーシャルの屈折

「ママ界」という擬似ホモソーシャルは、いまやママ友関係の憂鬱やら、ワーキングマザーと専業主婦の心理的対立やらで、行き詰まっているように見える。本来なら同性のよしみで理解し合い、助け合っても良さそうなものだが、同性だからこそお互い過剰に「察し合い」「気をつかい合い」「褒め合い」、その裏返しに「嫉み合う」、気持ちの悪い屈折を実は全員が全員で感じ、言葉にしないまま鬱屈しているように思える。

これを女子校的、と評するのは全く間違っている。女子校のホモソーシャルは、そこに男性視線の評価が存在せず、自分たちを軸に小規模に完結する、真性の単一性文化。でも日本的な、まったく日本的なママ友コミュニティは、自分たちの中だけでは完結しない。一人の個人としてではなく「ママ」という役割に依拠した集団の社会では、本人たちは無意識に夫や(義)両親や学校の先生たちや、「外部」に向けてパフォーマンスする。

もちろんメンツや場所や風土にもよるのだけれど、つきつめると「外から与えられた価値観の檻(おり)の中」に女だけが放り込まれて、楽屋で熾烈な競争をし、互いに序列をつけ、「輝いている私」の姿をアピールする、大奥で繰り広げられるショーのようなものだ。母親たちはギリギリの線で汗だくの舞を踊る。誰かの「承認」を得るために。

「イクメン」は死なない。死んだら困る

だからこそ、そんな窒息寸前のママ友擬似ホモソーシャルには、パパやおじいちゃんやおばあちゃんやおじおばがやって来て、空気穴を開けて欲しいのだ。複数のひとが、様々な視点から子どもに物事を教え、園や学校や習い事の送り迎えをし、行事に顔を出し、勉強を見てやって欲しい。ある意味、他に人手があるのに子育てを女親だけのものにしてはいけないのだ。窒息寸前の母親(やがて『毒親』になる)に育てられた子どもは不幸である。「母親」という役割に過剰適応した一部の毒親予備軍たちにとっては、絶対に認められない、認めたくないことだろうけれど、その猛毒は時に死に至る。

広く行き渡った「イクメン」の言葉は失速したのだろう。でも、イクメンの概念は薄れさせてはならない。一時のファッションで終わらせてはならない。頼むよ。だって、本当はまだそんな飽きるほど育児してないじゃないか諸君! それどころかイクメンの概念が広く深く浸透し、常識化し、当たり前のことだからこそ死語となる、そういう展開であることを私は心の底から祈っている。




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