妊娠の基礎知識/出生前診断・新型出生前診断

皆はどうする? 染色体異常がわかる新しい出生前診断(4ページ目)

新しい出生前診断「母体血胎児染色体検査(NIPT)」。どう考えればいいのでしょうか? 全国150名の妊婦さんと育児中のママに、この検査を受けたいかどうかを聞いてみました。

河合 蘭

執筆者:河合 蘭

妊娠・出産ガイド

新しい検査は、妊娠10週から可能

今回登場した「母体血胎児染色体検査(NIPT)」は、母体血の中にわずかに含まれる胎児の遺伝子を調べる検査です。もしも胎児の染色体の本数が通常より多くなっていると、その染色体にある遺伝子の量が通常より多くなります。すると胎児が「21トリソミー(ダウン症)」「18トリソミ-」「13トリソミー」などと呼ばれる染色体異常を持っている可能性が高いということになります。

胎児の遺伝子は妊娠10週には母体血中に十分な量が現れているので、検査はその時期から可能です。

陽性が出た場合は羊水検査による確定診断が必要

非常に精度の高い検査とはいえ、羊水検査と同等に正確ということではありませんので、羊水検査のかわりになるものではありません。既存の検査の中での位置を考えると、東尾理子さんがブログで書かれた母体血清マーカー検査(トリプルマーカー検査、クアトロマーカー検査)のかわりと考えるのが適当かと思います。もし陽性反応が出た場合には羊水検査で確定診断をおこなうことが必要だと考えられています。

羊水検査で確定診断ができるのは羊水が十分に増える妊娠15週以降です。ですから、新しい検査が早い時期にできるのはよいことのように見えますが、5週間も中途半端な状態で待たなければならないのは妊婦さんにとって多大なストレスとなる可能性があります。

陰性の場合は信頼性が高い

一方、陰性反応が出た場合は、米国シーケノム社の臨床試験によると非常に正確であることが確認されています。陰性の場合には、羊水検査をしない人が多くなるのではないかと思います。その場合は羊水検査にともなう流産のリスクが回避できるので、この点が、この新しい検査の良さかと思われます。

もっと相談の場が欲しい

出生前診断をどう考えるかは大変難しい問題ですが、妊婦さんたちには、検査について情報を得たり、気持ちを分かち合ったりする場がなかなかありません。アンケートでは、このほかにもいくつかの質問をしています。次回は、相談の場について皆さんが回答してくれたことをお伝えしたいと思います。
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