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石川尚の一家一脚・椅子物語UP#020 段ボールの塊が変身した椅子(下

UP#020:段ボールをまるで彫刻作品にようにデザインした椅子『Wiggle Side Chair』。今回は、おなじみの逆さショーをお見せしながら、秘められたデザインディテールをご紹介します。

石川 尚

執筆者:石川 尚

ファニチャーガイド

『ある日、私は自分の事務所の外に波形ダンボール紙の山を見た。
その材料は、私が好きな建築モデル製作材料であった。
私はあれこれいじり回し、それらを貼り合わせ、手ノコやポケットナイフで形を切り出した』(Frank O.Gehry,Marilyn Hoffmann,‘Liberated Design,’The Christian Science Monitor,ボストン、April19,1972に引用)
こうして、伝統的な家具の材料に代わる安価で軽量、加工の容易いダンボールを使い、彫刻作品を創造するようにして名作椅子ダンボールの椅子“Wiggle Side Chair/ウィグル・サイドチェアー”が生まれたのである。

恒例のシーン!をと、椅子を持ち上げ逆さにしたとたん、ウォー!と声が出てしまったぁ。。。。。。。

左端は3mmのMDF(中質繊維板)、そして7mmのWフルート(波波がダブルに連なっているダンボール)を交差して積層している脚の端部。その端部に幅15mmの木棒を埋込んでいる→


そこには、蛇のような曲線を描いてきた脚の端部に、坊主(蒲鉾)状の木棒が埋込まれている。

床との接点・・・いくら積層して強度があるダンボールとはいえ、長期使用に共なう破損を事前に防ぎ、補強する為になされている。
脚部の末端が床に直接触れず、意匠的にもスッキリと見せるディテールである。

椅子に限らず、どんな関係でもそうだが、全体がいつもくっつきあっていると、暑苦しく、かならず何処かで問題が発生する・・・・・点で接する、間をとる等ある種の距離感が長く保つ秘訣なのである。
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