住みたい街 首都圏/子育て・環境重視の街選び

子育てに良い街 勝手に選ぶベスト10(3ページ目)

自治体によってサービスの内容が異なることはよく知られるようになってきましたが、教育内容、子育て支援にはその差が大きく出ます。ここでは独自の子育て施策を行っている自治体などをご紹介します。

中川 寛子

執筆者:中川 寛子

住みやすい街選び(首都圏)ガイド


英語、理科、読書に教科担任制など
まんべんなく、手厚い浦安市(千葉県)

浦安の街並み

安全で広い歩道、あちこちに設けられた公園やベンチなど、子育て世帯には住みやすい条件が揃っている

子育て世帯が多く居住している上に、財政的に恵まれているとあって、目新しい施策が並ぶわけではないものの、まんべんなく、手厚い取り組みを行っている浦安市。待機児童解消のため、毎年のように新たな保育所を開園、幼稚園の預かり保育、保育ママ制度の促進などを行っており、千葉県のデータでは平成24年4月1日現在で38人。都心通勤者の多い自治体としては比較的少なめです。

 

教育

豊かな財政力を背景に学校に多くの人員を配し、質の高い教育を目指している

また、教育に関しては手厚い人員配備で学力向上を目指しているのが特徴。具体的には外国度指導助手、理科支援ティーチャー、少人数教育推進教員、司書、スクールカウンセラーなどなど。子どもを見守る大人の目が多いということで、細かいところに目の行き届く教育を目指しているわけです。

 

もちろん、歩車分離が徹底されたエリアが多く、公園その他が充実している点も子育て世帯には魅力的な条件。地盤その他、災害時には弱い部分もありますが、それについては住宅の選び方などでクリアできる点もあり、子育て世帯に根強い人気があるのも頷けるところです。

手厚い医療費助成、
子育て福袋など柔軟なアイディアの北区(東京都)

赤羽駅

北区は23区内では待機児童数も少ない、実は穴場な街(写真は赤羽駅)

東京23区では中学校3年生までの医療費を通院時、入院時ともに助成しています。全国的にも手厚い助成ですが、それ以上にハイレベルな助成を行っているのが北区千代田区で、高校3年の卒業時まで。北区では入院医療費、千代田区では通院時、入院時とも助成しており、手厚さでは千代田区が上なのですが、住宅の価格で考えると千代田区はあまり万人向きではありませんし、また、北区では子育て応援団事業として各種の気配りのある事業も展開しています。

 

この子育て応援団事業は妊娠時から就学前までの一連の施策となっており、母子健康手帳交付時に配布される子育て福袋に始まり、産前産後支援・育児支援ヘルパー、両親が子どもを預けて息抜きできるママ・パパ子育てほっとタイム、読み聞かせ用の本や絵本のプレゼントなど、内容は子どもの年齢に応じてさまざま。保健師などによる訪問指導や、児童委員によるお誕生会への招待など、人が介在する施策が多いのが特徴で、これなら子どもの誕生を機にこの街に引っ越してきた人にも地域に参加しやすくなるというものです。

また、北区ではファミリー世帯への家賃、転居費用助成親元の近くに住むための住宅取得3世代で同居するための住宅取得への助成などもあり、条件にあてはまる人であればお得。住宅取得への助成は50万円です。

住民との協働で子育て支援サービスを提供、
障害を持った子どもにも配慮のある三鷹市(東京都)

三鷹駅

財政事情も良く、緑も豊富な街、三鷹。バランスの良い施策が特徴だ

1950年代から0歳児保育を行っていたという、子育て支援サービスには歴史と実績のある三鷹市。現在ではどこの自治体にもある子ども家庭支援センター(東京都以外では地域子育て支援センター)が最初に作られたのも三鷹市からでした。

 

その三鷹市の子育て支援の特徴は行政で全部をやろうとはしない、住民との連携を大事にする姿勢です。保育サービスでは「保育の質のガイドライン」を公立、私立、認証保育園等で共有することで、質を保ちながらも最近の5年間で約500名の定員拡大を実現。子育て支援ポータルサイト「みたか子育てネット」も地元のNPO法人などとの協働で、分かりやすく、使いやすいのが特徴です。

そうした協働体制は高く評価されており、「にっぽん子育て応援団」が選んだ子育てに良い街では1位に。ちなみに同点2位に千葉県松戸市、東京都新宿区、3位に神奈川県藤沢市が選ばれていました。

また、一般の家庭にはあまり縁がないかもしれませんが、三鷹市は発達に不安のある子どもや障害を持った子どもの支援にも力を入れており、相談や助言、検査などメニューも多様。尖がった施策はないものの、どんな家庭にも使える、使い勝手が良い、そんなサービスが提供されているというわけです。

子育て世帯の住宅購入、賃貸に助成、
住宅面からファミリーをサポートする台東区(東京都)

子ども部屋

住宅購入、住替えのきっかけとなるのは子ども。子ども部屋が欲しいから広い家へという例が多いのだ

ちょっと視点を変えて住宅の面から子育てに良い街を考えてみましょう。ひとつは住宅価格、家賃が安くて、広い家を手に入れられる街ですが、それだと単に都心から離れれば良いということになるので、どこが良いとは言いにくくなります。では、子育て世帯に購入時、あるいは賃貸時に助成があるというのではどうでしょうか。

 

子育て世帯を対象に住宅購入、賃貸などに助成がある自治体としては前述の北区、渋谷区、新宿区、台東区、千代田区、豊島区、文京区、目黒区(いずれも東京都)がありますが、このうち、購入時に使える制度があるのは北区、台東区、千代田区。ただし、北区は三世代同居、親元近居、千代田区も親元近居、区内転居であることが要件。そうした要件なしに利用できるのは台東区だけで、しかも、募集数が250世帯(24年度の場合。うち150世帯は多子世帯及び多世代世帯優先枠)と比較的多く、子どもが3人以上いる世帯は多子世帯として優遇されます。助成は1世帯あたり50万円です。 台東区ではファミリー世帯への家賃の助成もあります。こうした住宅に関する助成については不動産ジャパン内にまとめられており、調べる際には役に立ちます。

 

住宅ではもうひとつ、金銭的に得をするわけではありませんが、子育てを意識した住宅を認定する制度を設けている自治体もあります。そうした制度を作っている自治体には子育て世帯が多く、自治体としても子育てを重要課題と考えていると思われますので、家を選ぶ際の参考にはなります。

具体的には墨田区、世田谷区(以上東京都)、埼玉県、横浜市、川崎市(以上神奈川県)など。特に墨田区は2002年に他自治体に先駆けて子育て支援認定マンションの制度を作り、以来11棟のマンションが「子育てにやさしい」と認定されています。
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