アカデミー作品賞、過去の名作12本を振り返る(3ページ目)

第79回作品賞『ディパーテッド』 

香港映画の傑作『インファナル・アフェア』をメイクした犯罪サスペンス映画。マフィアに潜入捜査に入った警察官のビリー（レオナルド・ディカプリオ）と、警察にスパイとして送り込まれたマフィアのコリン（マット・デイモン）。ふたりは組織に情報を送るが、マフィアと警察が内通者探しを始め、二人は危険にさらされる……。ビリーを振り回すマフィアのボス、ジャック・ニコルソンの怖さがスリルを煽ります。名匠マーティン・スコセッシが初めて監督賞を受賞したことも話題に。

監督：マーティン・スコセッシ
出演：レオナルド・ディカプリオ、マット・デイモン、ジャック・ニコルソン、マーク・ウォールバーグほか

★オスカープチ情報
この年は、渡辺謙、二宮和也、加瀬亮などが出演したクリント・イーストウッド監督作『硫黄島からの手紙』が作品賞候補に。そして『バベル』で体当たりの熱演を見せた菊地凜子がアカデミー助演女優賞候補になりました。

第80回作品賞『ノーカントリー』

ジョエル&イーサン・コーエン監督作。畳み掛けるアクションに目が釘づけになるバイオレンス映画の傑作です。テキサスの荒野で行われた麻薬取引の現場に出くわしたモス（ジョシュ・ブローリン）は、出来心で、その場にあった200万ドルの大金を持ってきてしまう。その後モスは殺人マシーンのような男シガー（ハビエル・バルデム）に追われる羽目に。オカッパ頭で無表情、ボンベをかついでエアガンを撃ちまくる究極の悪役ハビエル・バルデムの情け容赦ない怖さは圧巻！アカデミー助演男優賞受賞も納得です。

監督：ジョエル・コーエン&イーサン・コーエン
出演：トミー・リー・ジョーンズ、ハビエル・バルデム、ジョシュ・ブローリンほか

★オスカープチ情報
外国語映画賞候補になったカザフスタンの映画『モンゴル』のチンギス・ハーン役は浅野忠信。惜しくも受賞はならなかったけれど、日本でも話題になりました。彼はこれ以降ハリウッド大作『マイティ・ソー』『バトルシップ』などに出演しています。

第81回作品賞『スラムドッグ＄ミリオネア』

一人の青年の成長物語を過去と現代をシンクロさせて描き、数々の映画賞に輝いたダニー・ボイル監督作。インドの人気クイズ番組で勝ち上がったジャマール（デヴ・パテル）は、最後の一問になったとき、イカサマをしたと言いがかりをつけられ、身柄を拘束されてしまいます。彼は｢ストリートで生きながら学んだ｣と、厳しい半生を語りだし……。クイズの出題と彼の経験が見事にリンクし、観客をジャマールの人生に引きずり込む見事な脚本と演出が素晴らしい。まさにアカデミー賞にふさわしいザッツ・エンタティメントです。

監督：ダニー・ボイル
出演：デヴ・パテル、マドゥル・ミッタル、フリーダ・ピント、アニル・カプール、プレーム・クマールほか

★オスカープチ情報
滝田洋二郎監督の『おくりびと』が外国語映画賞を受賞！日本中が大いに沸きましたね。また『ダークナイト』で助演男優賞を受賞したヒース・レジャーは、2008年1月に亡くなり、家族がオスカーを受け取りました。ヒースの受賞スピーチが聞きたかったと世界中のファンが涙々。

次のページは第82～84回の受賞作。『ハート・ロッカー』など