外壁材の製造・検証を自ら行うハウスメーカーも
自社で外壁材を製造するのには、もう一つ理由があります。外壁材は火事や台風などの災害から住まいや家族、財産を守る素材ですから、その性能や品質には厳密な検証が必要になります。そのため、ハウスメーカーの自社製外壁材はより信頼度が高く、その会社の住まいづくりに対するプライドが象徴されているように思います。もちろん、外壁材のメーカーと共同開発するというケースもあります。これに関しても、自社の基準に適合するか、自らの研究機関などの検証を経て外壁材としての活用を決定するという経緯を経ますから、信頼性は一般的な外壁材より高いと考えられます。
施工する住宅に使用する素材について、自ら性能や品質の確認を行わない施工業者というのは、残念ながらまだまだ多いのが実情です。そうした中で、このような取り組みは一定の評価に値すると私は思っています。
実はかつて、そうして開発された外壁材を目玉とした、あるハウスメーカーの新商品が、発売直後にリコールされるということがありました。商品名にはその外壁材の名前が使われるほどの、期待の新商品だったのですが。
私は当時、住宅の業界紙の記者としてその件について取材していたのですが、そのハウスメーカーは偉いなと思いました。リコールの原因は、その外壁材に目に見えないほどのクラック(ヒビ割れ)があったためでしたが、その責任をきちんと取ったためです。
話の本筋から少しそれますが、近年、軒裏天井など住宅の外装材の耐火性能不足が露見することが相次いでいました。このような自体は本来、あってはならないことですが、私の取材では、大手のハウスメーカーではその後の対応をし、補修を行っています。これらのエピソードはハウスメーカーの信頼性を表す事例といえるのではないでしょうか。
「経年美」の視点から外観を考えることも大切
話を外壁材に戻します。私は先日、住友林業のモデルハウスを見てきました。そこで驚いたのが、スギ板を使った外壁材が使われていたことでした。これは特殊な加工(燻製のようにする加工)を施し、内部の水分を全て飛ばした素材で、従来のスギ板外壁材に比べ性能が大幅に高まったといいます。住宅の外装材として木材を使うことは、戦後しばらくまで一般的でした。ですが防火上の配慮や施工性、割れや反りの発生という品質の面の問題で、サイディングなどの新たな素材が現在の住宅市場では主流となりました。しかし、強く木質感を感じられるため、現在でも木材の外壁材は根強い人気があります。
住友林業は元々、木造住宅のトップメーカーとして、木質感を大切にした住まいづくりに定評がある会社です。モルタル外壁についても高い技術力を持つ会社でしたが、改めて木材の外装材に注目し、進化させた上で採用したのは、「らしい」選択だと感じられました。
もちろん、このスギ板の新たな外壁材も色の変化など経年変化はまぬがれません。このスギ板外壁材については、特殊なコーティングを施すことで、15年は塗り替え・張り替えは不要となっています。しかし経年変化・劣化はサイディングでも同様に発生することです。
大切なのは、その経年変化が施主にとって不快になるのではなく、逆に愛着を感じられるようにすることではないでしょうか。「古い」ということは決して悪いことではありません。欧米では、年月を重ねた風格のある住宅の方が、新築住宅より高額で販売されているという事例もあります。
歳月を経ても愛着や品の良さを感じられる、そうした「経年美」の観点から、外壁材、あるいは外装デザインを考えながら住まいづくりを行うことも、良い住まいづくりには大切な視点だと思います。