オーナーが、どうマネジメントするかが鍵
このように貼り紙の放置ひとつとっても、仲介・管理の両面から配慮する必要があります。昨今は、業務の細分化が進んでいます。内見を意識すると、入居者を敵かのごとく見なして、ルールを守れと貼り紙を貼りまくるよりも、ポスティングや訪問でのお願いの方が有効かもしれません。もっと言えば、そんな点も含め、予め人物審査をして物件の秩序を守ることも大切です。
どうしたら守るだろうかと考えて、ゴミ置き場にダミーカメラを設置したり、ゴミ置き場の清掃管理をしたりすべきかもしれません。もしかしたら、近隣の第三者が捨てていて、入居者が守っていないのではないのかもしれません。だとしたら公道に面したゴミ置き場の設置場所の変更も有効でしょう。こうしたことは、管理会社と膝を交えて相談し、策を練ることも必要です。設備投資もある程度必要かもしれません。しかし、それが単純な賃料競争に巻き込まれない為の知恵や工夫でもあるものです。
「貸してやる」から「借りていただく」へ
こうした発想の転換は、人口が減り、一方で物件の供給が続き、需給バランスが崩れた今日は、当然のことと言えます。以前は、ミドルリスク・ミドルリターンの投資信託のひとつだったかもしれません。安定的に利回りを得ることができ、税金対策にもなりました。建設会社は、丸投げを前提にサブリースなども提案し、「オーナーはとくにすることはありませんよ」と言っていたかもしれません。しかし、環境は変わり、空室が全国で増えています。マーケットが変化したのです。人口は今後減っていくのです。今年満室でも来年の環境はさらに悪化していくのです。
これをチャンスとして捕えましょう。全国では、丸投げ状態で「ごみのルールを守りなさい」という上から目線の貼り紙だらけの物件もあります。きっと、ポストはゴミだらけですし、共有部は散らかっていて、警告の貼り紙ばかり、駐輪場もぐちゃぐちゃではないでしょうか? そうした物件と差別化すべき機会が来たのです。
そう、チャンスなのです。オーナー自身が、物件を見て、考え、管理会社や仲介会社と改善点を探っていく。すると、賃料ダウン以外の施策でも物件の魅力を高めることができるのではないでしょうか?
まずは、昔からそのままになっている貼り紙をはがしましょう。そして共用部を清掃してみましょう。お部屋探しに来た人を迎え入れる準備をすると、入居者に対しても、自然と「借りていただいている」という気持ちで、ほかにも見なおすことが見つかるはずです。