まず、音読みと訓読みを知ろう
漢字には、音読みと訓読みがあります。わかりやすく説明すると、「訓読み=意味がわかる読み方」、「音読み=読みだけがわかる読み方」です。例えば、「寺」という漢字を考えてみましょう。この漢字が意味するものは「てら」ですね。ですから、「てら」は訓読みになります。では、音読みは何でしょうか。寺社(じしゃ)と言うときは「ジ」と読むので、音読みは「ジ」になります。「黒」はどうでしょうか。この漢字が表す色(意味)は、黒色ですから「くろ(い)」が訓読みになります。では、音読みは、読みだけがわかる読み方ですから、黒板の「コク」が音読みになります。ただし、これはあくまでも簡単な見分け方。例外があるので注意しましょう。例えば、「絵」という漢字ですが、「エ」「カイ」という音読みしかありません。一見すると、「エ」は訓読みのようにも思えますが、違います。ややこしいですね。
正しい書き順で、「空書(そらが)き」して覚えよう
学校でも塾でも、漢字指導は家庭学習に任せっきりというところが少なくありません。市販の漢字ドリルで結構ですので、ぜひ、書き順が載っているドリルを購入して、指で「空書き」をして練習しましょう。「空書き」とは、空中に字を書くように指でなぞることです。今も昔も、ノートに何回も書き取りをして覚えるのは苦痛なこと。実際に書いて覚える前に、「空書き」で正しい書き順で書けるようにするだけでも十分効果があります。漢字ドリルを見ながら、親子で「1、2、3、…」と画数を読み上げながら「空書き」してみましょう。なぜ、ガイドがそこまで書き順にこだわるのかというと、理由は2つあります。1つ目は、漢字の書き順にはある程度法則があって、その法則通り書けば、たいていの漢字は書き順通り書けるからです。「上から下へ」「左から右へ」「タテの次はヨコ」といったように。例えば、「臣」という字は「タテ、ヨコ、タテ、ヨコ、…」と書きますし、「弓」という字は、「ヨコタテ、ヨコ、タテヨコタテハネ」と書きます。時々、「弓」という字を一筆書きで書く子がいますが、端から見ているとやっぱり気になります。
2つ目の理由は、正しい書き順を知らないと漢和辞典で調べられないからです。後でも述べますが、漢字をただ丸覚えするのではなく、その成り立ちも知ることでなかなか忘れない漢字学習につながります。その漢字の成り立ちを知る上で、漢和辞典は欠かせません。後々、困らないためにも、ぜひ正しい書き順で漢字を覚えることをオススメします。
※漢字の書き順には、一部、異なるものがあるので注意しましょう
漢字の成り立ちを知ろう
漢字には、その成り立ちによって「象形文字」「指事文字」「形成文字」「会意文字」に分けられます。それぞれの分類と例を見てみましょう。■象形文字
日、車、木、など、物の形をかたどってつくられた文字
■指事文字
一、二、上、下、など、数や位置や状態などを、記号を使って表した文字
■形声文字
江、板、議、など、意味を表す部分と読みを表す部分を組み合わせてつくられた文字
■会意文字
森、武、鳴、など、2つ以上の字を組み合わせてつくられた文字
形声文字は、意味と読みを表す部分から成るので、基本となる読み方を知っていれば、知らない漢字でも簡単に読むことができます。「江」という字は「工」の部分を「コウ」と読みますね。「板」という字も、「反」の部分を「ハン」と読みます。
「静寂」という熟語ですが、意外に読めない人がいます。「寂」という字はともかく、「静」という字は、「青(セイ)」という字を含んでいるので、実は簡単に読めるはずなのです。「精」「清」「請」も「セイ」と読みますよね。ちなみに「静」は、「争」+「青」から成る形声文字です。
「森」や「鳴」といった会意文字は、「木」がたくさんあつまって「森」という意味に、「鳥」が口でさえずっているので「鳴く」という意味になります。他にも会意文字として、」「日」+「取る」=「最」、「衣」+「毛」=「表」などがあります。「表」という字は、昔は毛で上着を作ったので、おもて着の意味から、「おもて」の意味を表すのだとか(大修館書店、漢語林より)。