凍える夜に欠かせない、湯たんぽの絵本ができました

寒い冬の夜、湯たんぽを入れた暖かなお布団の中で、おやすみ前の絵本を読む…… 想像しただけで、身も心もぬくぬくしてきますね。そんな至福のひとときを演出する、ブリキの湯たんぽを主人公にした絵本が生まれました。その絵本こそ、寒がりやの子どもたちに贈る大笑い必須の斬新な作品『わたしのゆたんぽ』です。それでは、早速お布団にもぐって、ぬくぬくしながらページを開いてみましょう。

ほっこりしている暇はない? 湯たんぽと女の子の冒険物語

『わたしのゆたんぽ』の表紙画像

表紙からは想像もできない大冒険(?)が詰まった楽しい絵本

それにしても、なんとまあレトロで「ほっこり感」いっぱいの表紙なのでしょう! おかっぱ頭の女の子の膝にちょこんと乗った湯たんぽは、懐かしいブリキ製ではありませんか。主人公2人は、なんだか顔までよく似ていますね。「これはもう、身も心も温まるような、ゆったりとしたお話が始まるに違いない」と思っても不思議はありません。

でも……騙されました。この絵本、そんなのんびりムードのまったりとした絵本ではありません。そもそも、湯たんぽと女の子の関係が微妙です。女の子の冷たい足を嫌う湯たんぽと、毎晩力ずくで湯たんぽをねじ伏せて暖をとる女の子。両者の間に蜜月関係はありません。むしろ緊張感さえ漂う間柄なのです。そんなある晩、ついに湯たんぽは、女の子のもとを飛び出しました。逃げる湯たんぽ! 追う女の子の足! そう、追いかける女の子は、ビヨヨ~~ンと伸びる両足だけで表現されるというシュールな絵は、いかにもきたむらさんらしくて、愉快です。

夜の街へ飛び出した湯たんぽは、やがて摩天楼やジャングルを抜け、あんなところやこんなところも飛び越えて、逃げる逃げる。この、スピードについていくためには、読者にホッコリしている暇などありません。湯たんぽと女の子の足との攻防は、抱腹絶倒の面白さで、一瞬たりとも目が離せませんから。

ああ、この2人には、いったいどんな結末が待ち受けているのでしょうか? 気になりますね……。物語の結末はお話できませんが、冒頭の2人の間の微妙な距離感が最後に少しだけ縮まったことだけは確かです。そう、お話の途中に、ホッコリする余裕はなくても、読み終えた後はちょっぴり心が温かくなる湯たんぽそのもののようなお話なのです。


【書籍DATA】
きたむらさとし
価格:1260円
発売日:2012/12
出版社:偕成社
推奨年齢:3歳くらいから
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