全てを消しさるように……Gian Carlo Piretti(ジャンカルロ・ピレッティ):『PLIA /プリア』
ボクは椅子のデザインを見る時、椅子をひっくり返しにしてみる。
何故かと言うと、裏側は通常見えないところであり、(全てとは言わないが)その見えないところだから手を抜いたり、簡単に仕上げるモノが多いからだ。これはコスト削減の為の処理でもあるが、見えない所までしっかりとデザインしているモノは、それだけで全ての質の高さが分かるからである。
この椅子は座も背も透明プラスチックなので、裏も表もない。全てがクリアーなのである。裏も表もない……納まりの悪い、醜いモノはビス一つから、すべて完璧に消しさらなければ、このデザインは成りたたないのである。
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断面21mm×10mmの楕円鋼管をシャープに、そしてコーナーは心地よく曲げて構成した座と脚フレーム。そのフレームにまるでクリア
ラップを巻くようにはまったプラスチック製の座と背。『此処に、こーして、各々をト・メ・テ・ア・ル』って跡が全くない。
細い素材と透明の素材を使用した椅子は、まるでマジシャンのように、パッ!と手を広げて『種も証もありません!』って………感じです。
「ホントにこの椅子、座れるの?」。。。の問いに、フレームとフレームのジョイント、座とフレームのサポートディテール(細部)を見ると、思わずうなってしまう。
わずか直径50mm、厚さ12mmの研磨ダイキャストアルミニウム製の円盤3層からなる背もたれ、脚、座を接合するジョイント。断面21mm?10mmの楕円鋼管に、覆いかぶさるようプラスチック製の座面を嵌め込んでいるノノ余計なものは一切見せない!(写真をクリックすると拡大されます。)
実際に座ってみる…………そして、畳んでみる
細くて透明なので不安感があるが、どーしてどーしてシッカリとしている。それにプラスチック製の座と背がベンディング(しなう)するから、見た目より柔らかくて心地よい。
座った時もそうだが実は、この椅子に感激するのは仕舞う時……折畳む時なのである。
脚と背もたれを兼用している1本のフレームを垂直に立てる。足下のラバーパットも滑り止めとして効いている。中心の円盤を軸に後方の脚と座面を動かしていくと。。。。。
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この立体の椅子が薄い平面に折畳んでいく様子が最高!!
中心の円盤を軸に後方の脚を前に、座面を背もたれ方向に動かしていくと、ごらんの通り1本の線上に全てが納まってしまう。その幅わずか、21mm。美しいでしょう!!
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最後に、次ページにて椅子のデーターをご紹介しよう!