庶民の滋養食だった納豆汁

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納豆には、たんぱく質、ビタミンB群、ミネラルの他にも注目すべき成分が含まれています

江戸時代の文献には「納豆売り」が登場しますが、よくかき混ぜてごはんに納豆をかけて食べるという食べ方は、後のこと。

それまで「納豆売り」で売られていたのは、納豆汁の材料としてあらかじめ刻んだ納豆、刻み菜、刻みねぎなどが「たたき納豆」として売られていたと考えられています。

今では納豆に馴染みが薄い上方(関西)でも、「納豆売り」が売り歩く姿が、元禄時代の挿画に見られるとか。庶民の食べ物として、また茶懐石や精進料理としても供されることもあり、親しみやすい食べ物だったのでしょう。

七草粥代わりや、風邪などの養生食

山形県の郷土食としても「納豆汁」は知られています。東北地方の雪深い地域では七草などの若草が手に入りにくいため、七草粥の代わりに、1月7日の「七草」代わりとして、また冬の風邪予防の養生食とする習慣が伝えられています。

納豆の栄養価は、大豆由来の良質なたんぱく質や、ビタミンB群やビタミンK、カルシウムや鉄分、マグネシウム、亜鉛等のミネラルが含まれる他に、善玉菌を増やすオリゴ糖、カルシウムの吸収を促して骨を強くするポリグルタミン酸(ネバネバ成分の一つ)、エストロゲン様物質のイソフラボン、血栓を溶かす酵素ナットウキナーゼ等を含んでいます。

このように様々な栄養素や成分を含む納豆は、食が豊かでなかった時代には滋養食であったことでしょう。また山形では里芋の茎を干して乾燥させた「芋がら」や塩漬けの山菜などの保存食をいれることが欠かせないようですが、こうした保存食を使って、これからくる春を感じていたのではないでしょうか。

納豆の粘りが加わることでとろみが出て汁物がさめにくく、寒い季節には体の芯から温まるという雪国地方の食と健康の知恵が詰まった逸品だと思います。

さらに加熱することで納豆独特のにおいが気にならなくなり、納豆に親しみがない人も食べやすいと思いました。

今では、イスタント食品でも「納豆汁」や、手軽に食べられる具材とすりつぶした納豆やだしがセットになった商品などが販売されていますし、大仙市の「大曲」のように地域のソウルフードとしてアピールするプロジェクトも見られます。