竹工芸コレクター:ロイド・コッツェン氏
宮崎さんが、部厚くしっかりと装丁された一冊の本を見せてくれた。
タイトルは
『MASTAERWORKS JAPANESE BAMBOO BASKETS』
宮崎さんに見せていただいた竹工芸コレクションの本:JAPANESE BAMBOO BASKETS ・・・表紙の写真もとても緊張感があって美しい本だ! |
著書のロイド・コッツェン氏は、アメリカから戦後進駐軍として来日。骨董の竹製花かごに出会い、実際に製作する職人さんと知りあって『コレは凄い!』と竹工芸品にハマった彼は、江戸時代の末期・明治・大正・昭和の職人さんの系列などを自分で調査しながら収集……その数、1200~1300点あまり。
(写真をクリックすると画面が拡大されます。)
来日のコレクターは、皆さん研究本を精読し、とにかく勉強していらっしゃるという………感心しかりです。
しかし、そのような日本人はいないという。
『日本人はわからないのです。あばら屋のそこら辺の職人がつくっているモノだから、そんなモノに価値があるとは思ってもいない。』宮崎さんの弁にボクもため息。
ロイド・コッツェン氏のその後が素晴らしい。
彼は日本の伝統ある竹工芸の分野で、現在活躍中の若手作家とその作品をアメリカ国内に広く紹介する為に2000年から2年に1回「コッツェン・バンブー賞」なる展覧会をサンフランシスコ・アジア美術館で開催している。この支援センター修了生数人の作品も選ばれているとのことだ。
もしかして、バンブーチェア、ありますか?
この工芸支援センターの歴史を伺っていると、発足は県工業試験場と聞き、戦後産業工芸デザイン復興の為にここのような国の公機関に外国から著名な建築家やデザイナーを招き、指導にあたった時代を思いだした。
もしかしたらその産物としてデザインされた「バンブーチェア(竹の椅子)」があるのではないか?と尋ねてみた。
当時、国の機関として産業デザイン指導があり、そこに柳宗理氏ら多くの戦後デザイン第一世代の方々を排出した機関があった。フランスの代表的建築家:コルビジェ氏のデザインパートナー:ペリアン女史も来日している。
実物はここにはないが、当時のバンブーチェアーの資料があるというのでそれを見せていただいた。
(写真をクリックすると拡大されます。)
と同時に、日本における現在の竹工芸の現状・存在、戦後産業工芸デザイン復興、竹工芸支援センター訓練指導、外国コレクターと展覧会、そして日本のオリジナリティー……私たち日本人は何にをしているのだろう?日本の大切なものをもっと活かさなくては、もっと知らなければならないと痛感した。
思わず、
「宮崎さん、今の竹を使った椅子の現物はありますか?」
『ええ、展示室に面白いものがありますよ』
「是非、お見せください!」
ボクは、期待に胸を膨らませて展示室へむかった。
さて、展示室でガイドがみたバンブーチェアとは?・・・『後編』
に続く!
※取材協力:大分県竹工芸支援センター・研究指導課
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