インマゼールによる、情景鮮やかなドビュッシー
インマゼールのドビュッシー
そしてそれを最も徹底して行うのが、ベルギーの鬼才ジョス・ファン・インマゼール。
印象派の作曲家ドビュッシーのこのCDでは、特に『管弦楽のための映像』のジーグなどで木管楽器の今や失われた個性的な柔らかな響きを十分に味わうことができる。
しかし、インマゼールが素晴らしいのはこれだけではありません。彼は演奏に私情を挟まない。作曲家のことだけを考える。そのため余計な誇張はなくなり、純粋な音楽が浮かび上がるのです。
そして彼がまた偉大なのはオーケストラとの関係。
指揮者はオーケストラに指示を与えるものですが、彼は仲間である自設オーケストラ『アニマ・エテルナ・ブリュッヘ』のメンバーと共に意見を交換し、音楽を作り上げる。結果、生まれる音楽は、今正に生まれたように無理なく自然に生き生きと響く。それは他で聴くことができない体験です。
『「牧神の午後」への前奏曲』では、日向でまどろむ牧神パンの吐息が聴こえるよう。海を描写した『海』では、波に映る陽のきらめき一つひとつまで見えるよう。
古楽演奏の究極を、ぜひどうぞ。
■クロード・ドビュッシー
・「牧神の午後」への前奏曲
・海~管弦楽による素描3枚
・管弦楽のための映像
指揮:ジョス・ファン・インマゼール
オーケストラ:アニマ・エテルナ・ブリュッヘ
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