石川尚の「気になるデザイン」
『原点』こころのデザイン 日本の傑作椅子 写真集01
(引用:別冊商店建築78「日本の木の椅子」,p90,商店建築社発行) |
「金にはならないが、どうしてもやっておきたい仕事だからさせてくれ。」
家族に頭をさげて取り組んだカラマツシリーズ。
そのシリーズから日本の家具デザインの草分けの一人にあげられる松村勝男氏の代表作「ガマイス」が生まれた。
脱脂したカラマツの無垢を単純な部材と構造で構成し、背と座に植物のガマを編み込んだvernacular(ばなきゅらー:土着的)な造形美のある休息椅子。まさに質実剛健な松村勝男氏のデザインである。
実際に座ってみると、ガチッと組まれた座と背が身体に固く当たってくるが、ブ厚く編み込まれたガマの弾力が秋の穂積(刈り取った麦わらを積み重ねた固まり)を思い出させ、郷愁的な心地よさがある。
畳の上で使用できるよう足元には畳ズリ(畳をキズつけないように前後の脚の端部を連結する一本の直線材)が設置されている。
1972年当時開催された「松村勝男の木の世界」で高い評価を得て、社)日本インテリアデザイナー協会賞を受賞した。
■ ガマイス(1972年)
・デザイン:松村勝男
・製造 :城北木材加工、飛騨産業(株)
・サイズ :W480 D950 H900 SH380
・素材 :カラマツ材
・本編 P4 第一話 質実剛健、松村勝男のデザイン。をご覧ください。
☆掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます。
(C)2001-2008 Copy & Photo byイシカワデザイン事務所 All rights reserved