第4位 てぶくろ ウクライナ民話
降りしきる雪の中に、手袋が片方だけ落ちています。おじいさんが落してしまったその手袋は、見るからに暖かそうですね。すると、ねずみが駆けてきて、その手袋にもぐりこみました。次には、かえるがやってきて、それから、うさぎ、きつね、いのしし、おおかみと色々な動物がやってきては、手袋の中に入ります。手袋はもう、満員電車状態ですよ。さらには、大きなくままで「入りたい!」ともぐりこんできました。
「えぇ~、そんな大きな動物が、手袋に入れるはずがない!」なんて思っている人はいませんか? ごもっともなご意見ですが、ここは、絵本の世界です。クリスマスが近いこの時期くらい、たくましい想像力でお話を楽しむ子どもたちにならって、親子一緒に民話の世界で遊んでみましょう。
よく見れば、手袋の住人が増えるにしたがって、おうちの設備が充実していくのがわかります。煙突や玄関ができたと思えば、美しい装飾窓が作られ、玄関先には金色の鐘まで下げられています。
ところが、手袋を落としたことに気付いたおじいさんとお供の犬が戻ってくると、お話は一気に現実の世界に舞い戻ります。あっという間にいなくなる動物たち。もう1度手袋の周りをよく見ると、雪は降り続いているはずなのに積雪が増えた様子もありません。おじいさんが手袋を落としてから、いったいどれだけの時間が経過していたのでしょうか。謎だなあ。絵が語る時間と空間を超えた世界……それは、絵本の醍醐味を教えてくれる不思議な世界なのです。
【書籍DATA】
エウゲーニー・M・ラチョフ:絵 うちだりさこ:訳
価格:1050円
出版社:福音館書店
推奨年齢: 3歳くらいから
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