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今年の賃貸住宅市場を振り返り、来年の市場を占う(2ページ目)

平成23年に起こった東日本大震災の影響も落ち着き、今年の賃貸住宅市場は、比較的好調なものとなりました。賃貸の成約数は伸びており、市場が上向きになったと一安心している家主さんも多いかと思います。しかし、本当にデータを鵜呑みにして楽観的に捉えても良いのでしょうか?今年の賃貸住宅市場を振り返り、市場の傾向を解説します。そして、今後引き上げが確定している消費税の影響を踏まえ、来年の賃貸住宅市場を占います。

谷崎 憲一

執筆者:谷崎 憲一

土地活用ガイド


消費税増税が賃貸住宅市場に与える影響

消費税増税前に建築するために

 

過去の消費税導入時、及び増税時の傾向を見れば、まずは駆け込み需要というものが予測されます。特に、建築の駆け込み需要が伸びることになります。
原則的には、平成26年3月末までに引き渡しを受ける物件が5%となりますが、経過措置として、建築主が建築業者と請負契約を結ぶ場合は、平成25年9月末までの契約であれば、着工や完成がずれ込んだとしても間に合います。それまでの契約を目指すのであれば、今から動いてぎりぎり間に合うという状況です。詳細については一覧を掲載しますので、そちらでご確認頂ければと思います。
建築費には消費税がかかるため、建築にまつわる駆け込みニーズは大きく、一時的に経済の活性化につながります。但し、それは9月末までの駆け込み需要であり、10月に入ってからは、その反動で建築着工数が大きく減少する事も考えられます。バブルの頃のように、景気に勢いのある時期の増税であれば、それほど大きな影響を受けないこともありますが、一般的に増税は景気の減速を引き起こす要因となります。
平成9年の消費税増税では、景気が底割れしていた中での増税であったため、駆け込みニーズ需要が終了した後は、その反動で、景気の減速を引き起こしました。
今後、消費税の増税により景気が減速してしまうのか、それとも、それほど大きな影響を受けずに済むのかは、政府がどのような経済政策を打ち出すかによって大きく左右されます。新聞やテレビの経済のニュースに注目し、アンテナを高く張ることで、今後の景気の流れを掴むことが出来ます。

平成25年の賃貸住宅市場の見通し

今後の賃貸住宅市場の見通しとしては、厳しい時代は避けられず、来年は家主さんにとって、その中で生き抜く覚悟が求められる年になります。
まずは、ご自身の建物をチェックし、これからの時代のニーズに応えられる建物であるかどうかを判断しましょう。そして、リフォームするのか建替えるのか若しくは売却をするのか、しっかりと方向性を見出すことが重要です。
もはや、賃貸経営は不労所得とは言えません。入居者さんから当然のように家賃を頂ける時代は終わりをつげ、努力と工夫により、様々な障害を乗り越えて行かなければならない時代になってきています。更に言えば、賃貸経営は大家業からサービス業へと変わり、そして、今後はホスピタリティの時代に移りつつあると言えます。ホスピタリティとは、言わば、おもてなしの心のことです。入居者さんにどのようにして感動を与えるのか、どのようにして癒しを与えるのか、どうすれば気に入って頂けるかを真剣に考え、主役である入居者さんが本当に求めいているものを、家主さん自身が導き出していくことが大切になります。
東京共同住宅協会では、そのような前向きに賃貸経営に取り組んでいられる家主さんのために、専門チームがいつでも待機しています。
どんな立派な建物を建てても、どんなにお金をかけても、満室経営が実現できなければ意味がありません。賃貸経営の本筋は、満室経営なのです。
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