さて、リタイア後はもちろん、現役世代の方も海外移住する場合に「自分の年金がどうなるのか?」が心配ではないでしょうか。確かにリタイア後の収入の柱である年金について、海外移住することで加入と受け取りにどう影響を与えるのか気になるところだと思います。そこで今回は、現役世代の方が海外に移住した場合の年金加入、保険料の支払いについてみていきたいと思います。
国民年金を支払うかどうかは「任意」
平成19年まで、社団法人国民年金協会が任意加入の申請代行をしていたが、現在は行っておらず、本人か親族が手続きをすることになる
問題は、仕事を辞めて海外に移住するようなケースです。外国人の夫の母国で暮らすという妻もいらっしゃるでしょう。会社員や公務員でない場合、日本では国民年金に加入することになるわけですが、国民年金には「国内居住要件」というものがあり、海外に移住した場合は「加入対象外」ということになります。
従って、海外移住すると基本的に国民年金を払わなくてよいことになります。ただ、「もし払わないことで将来の年金が少なくなったり、加入しないことで期間が足りず、1円も受け取れなくなったりするのは困る!」という方も少なくないのではないでしょうか?ですから、逆に「払いたい」という方もいらっしゃると思います。
そういう方のために、国は「任意加入」という制度を設けています。海外移住する方は、国民年金を払っても良いし、払わなくても良いということになります。
任意加入は「滞納」とは違うが……
さて、仮に「年金を払わない!」という選択をしたとすると、将来の年金にどのような影響を与えるかが気になるところです。先ほども書いた通り、海外居住している期間については保険料を払う「義務」はありません。従って、国民年金の保険料を払わなくても「滞納(未納)」とはみなされません。
国民年金法上、この期間のことを「合算対象期間(カラ期間)」と言い、年金を受け取るのに必要な期間(受給資格期間(現在25年、10年に短縮予定))に含めることが可能です(滞納(未納)期間は受給資格期間に含めることができません)。
しかし、期間に含めることができるだけで、年金額には反映されません。極端な話、海外移住期間が25年あったら、それだけで年金を受け取るのに必要な期間は満たされますが、その期間に対応する年金額はゼロでしかありません。
また、カラ期間中に障害年金を受け取れるような障害の状態になった場合に、障害年金が支給されないことになります。これも払わないリスクと言えますね。
>>任意加入の手続き方法は? 次のページでみていきましょう。