薬学部での6年間
数年前まで薬学部は4年間で卒業することができました。しかし近年の実務重視の教育により医療薬学系の科目が増え、またこれまで病院と薬局を合わせて4~6週だった実習が2.5ヶ月ずつの計5ヶ月に延長されました。
このことは4年次末に行われる共用試験の導入や薬剤師国家試験の出題数の増加にも影響し、薬学教育を大きく変えてきました。
では、薬学部での6年間を具体的に見ていきましょう。
主な薬系大学における6年制教育のカリキュラムモデル
1年次/ 薬学を学ぶための基礎を作る
1年次では薬学を学ぶための基礎的な知識を身に付けます。化学や生物、数学などについて高校での学習をもとに今後の薬学教育に対応できるように発展させます。また1、2年次は語学や法学、倫理学などの一般教養も合わせて学びます。これにより将来医療人として必要な社会性を身に付けていきます。
また大学によっては今後の学習意欲向上のために、臨床現場を体験する早期体験実習を取り入れているところもあります。
2年次/いよいよ本格的な薬学の授業が始まる
1年次に比べて専門的な科目が増えてきます。薬学の専門用語なども出てきて薬学を学んでいる実感がわいてきます。3年次/薬剤師としての基礎固め
薬理学、薬剤学など臨床で必要となる専門的な能力を身に付ける時期です。実習も実際の調剤現場を意識したものが多くなり、授業と実習の関連を感じる機会が多くあります。
4年次/臨床現場で求められる知識、技能の確認
4年次は研究室に配属されます
また、実務事前実習を通じて臨床現場における医療従事者としてのコミュニケーションのあり方を学びます。
4年次末には共用試験が行われます。これはCBT(コンピューターで行う知識試験)とOSCE(技能と態度の試験)の2つからなり、これらに合格することで5年次に行われる病院実習、薬局実習など今後の実務実習に当たって十分な能力が備わっていると判断されます。
共用試験について
共用試験は全薬科大学が協力して実施するものでCBTとOSCEの2つに分かれ、本試験はいずれも4年次の12月~1月の2ヶ月間のうち、各大学が設定した試験日に受験生が所属する大学で実施されます。CBTは1日、OSCEは1日または2日間で試験が行われます。CBTはコンピューターを使って、五肢択一形式の問題を解答していきます。OSCEは学内のみならず学外からも評価者を招いて、学生の手技が調剤現場で通用するレベルに到達しているか確認します。