中学受験を経験して得られるものとは?
中学受験を通じて得られるものは、単なる受験知識だけではなく、目標に向かって打ち込むことでが芽生える自立心だと、おおた氏は紹介しています。一般的に中学受験というと、年末年始を返上して受験生がはちまきをして合宿に参加しているシーンをテレビで目にするなど、行き過ぎた印象を抱いている人が少なくありません。もちろん、そういう側面がないわけではありません。受験というものに問題があるとしたら、それは過度に子どもに結果を期待したり、体や精神面を病んででも受験勉強を強いたりすることでしょう。
勉強に限らず、子どもが何かに打ち込むこと自体は決して悪いことではありません。この点に関して、本書では「中学受験とは、作らなくてもいい機会を自ら作り、その機会によって自らが変わっていく、まさにそういう機会である(p182)」と述べられています。
同様に、高校受験にも同じようなことが言えるのではないでしょうか。多くの受験生が高校受験を通じて学力面での進歩だけでなく、「がんばって受験勉強をやり抜く」という経験によって人間性の面で成長するというメリットがあります。「受験=子どもがかわいそう」というとらえ方は、一概に正しいとは言えないようです。
中学受験と高校受験は、自ら選んで通らなければならない道か必ずみんなが通らなければならない道かという違いこそありますが、受験を通して子どもの成長が見られるという点では同じといえるかもしれません。
中学受験の今
さて、ここでクイズです。国立・私立の中学校に進学している割合が高い都道府県ベスト3の組み合わせとして正しいのは、次の1~4のどれでしょうか。1.東京、神奈川、千葉
2.東京、神奈川、大阪
3.東京、高知、奈良
4.東京、大阪、愛知
正解は、追々説明していくとして、まずは、中学受験の現状について紹介したいと思います。2012年度の中学1年生は約117.4万人で、そのうち約9.4万人(8.0%)が国立・私立の中学校に通っています(文部科学省の学校基本調査より)。
この割合は、東京では25.7%となっており、実に4人に1人が国立・私立の中学校に通っているのです。神奈川はというと11.8%で平均より高いものの、東京ほどではありません。その他では、千葉が6.6%、埼玉が5.0%と、意外にも全国平均より低いのです。
関西地方を見てみると、大阪が9.9%、京都が12.6%、兵庫が8.4%と、こちらはいずれも全国平均を上回っています。関西地方にも、多くの名門私立中学が存在するので同然と言えば当然ですね。
さて、気になる2位ですが、実は高知で19.8%となっています。5人に1人が国立・私立の中学校に通っている計算になります。もちろん、子どもの数自体が少ないので、単純に東京と比較することはできませんが、土佐、土佐塾、高知学芸など、名門私立中学が多いことを考えると、この割合の高さも納得です。
それでは、3位はどこかというと、実は奈良で13.1%となっています。
というわけで、正解は、「3.東京、高知、奈良」でした。このように、割合で見てみると、中学受験が決して、関東地方だけの独特な傾向では無いことがわかりますね。
ちなみに、国立・私立の中学校に通っている中学1年生の数は、1位は東京で約2.7万人、2位は神奈川で約9.3千人、3位は大阪で約8.3千人となっています。