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帝国ホテルから辿るバイキングの歴史

「バイキング」は和製英語だ。帝国ホテルが命名して、日本中に広めた言葉であり、システムである。その歴史を紐解くと共に、帝国ホテルの下川シェフのインタビューも紹介

東龍

執筆者:東龍

ブッフェ・フレンチガイド

ブッフェの歴史

ブッフェの始まりはいつであろうか。その歴史を見渡すと、「パンとバターの食卓」を意味するスウェーデンの「スモーガスボード(smorgasbord)」が始まりだ。1700年代とされている。塩漬けした魚や肉を、パンの上に色々な具材を載せて食べる形態を指していた。

一度にたくさんの料理を取るのではなく、自分の分だけを皿に少しずつ盛り付けること。テーブルと料理台を何度も往復して、皿の数が多ければ多いほど、マナーがよいとされていたのだ。このことは、ブッフェのマナーを語る上で重要な示唆に富む。

日本では1958年がバイキングの始まりであった。帝国ホテルの「インペリアルバイキング」がオープンして、歴史が始まったのである。2004年にはリニューアルを施して「インペリアルバイキング サール」として生まれ変わった。この後で他ホテルがブッフェレストランのリニューアルを始めたが、先んじて改装したことは先見の明があると言えよう。

「バイキング」は和製英語だ。帝国ホテルが命名して、日本中に広めた言葉であり、システムである。

帝国ホテルとバイキング

帝国ホテルは、バイキングには並々ならぬ力を注いでいた。以下に、帝国ホテルからの資料を紹介したい。
開業当時 料理台
~「バイキング」は、1958年8月1日、帝国ホテルからはじまりました~

1957年(昭和32年)、パリで料理修行中であった村上信夫(後の帝国ホテル第11代料理長)に、当時の帝国ホテル支配人 犬丸徹三から、北欧の「スモーガスボード」習得の命が下りました。「スモーガスボード」とは肉・魚・野菜などの各種料理を食卓に並べ、自由に取り分けて食べる北欧の伝統料理です。

この料理を学んだ村上は、帰国後の1958年(昭和33年)8月1日に日本初のブフェレストラン「インペリアルバイキング」をオープン。店名は社内に公募し、当時話題となっていた、北欧の沿岸地帯を荒らし回った海賊の波乱万丈の生涯を描いた大作映画『バイキング』のイメージが、食べ放題という新しい食のスタイルと重なったことから名づけられました。

以来、日本で『バイキング』といえば、ブフェスタイルのレストランを意味するまでに広まったこの食のスタイルは、来年で55周年を迎えます。帝国ホテル 東京では「インペリアルバイキング」の伝統を受け継ぎ、2004年にリニューアルオープンした本館17階の「インペリアルバイキング サール」で、熟練のシェフがオープンキッチンで仕上げる約40種類の料理をブフェ形式でお楽しみいただけます。

開業当時 メニュー表紙

開業当時のメニュー表紙は、海賊のバイキングを意識したイラスト

当時の帝国ホテル支配人である犬丸徹三氏から命が下ったとは、力の入れようが感じられる。当時から本格的な欧風料理を提供していた。

2008年にはバイキング誕生50周年を記念して、8月1日を『バイキングの日』に制定するなど、文化の発信としての活動にも積極的だ。





そんなサールが現在どのようなブッフェレストランになっているか、サールで腕を奮う、インペリアルバイキング サール シェフ 下川明宏氏にインタビューした。
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