カバーとコアの関係性とは?
まず、カバーの軟らかさについてのおさらいです。実際にボールを打球する部分であるカバーは、軟らかい方が摩擦は高まりスピンが多くなります。以前は糸巻きバラタボールという軟らかいカバーを採用したボールがプロ・上級者の間では主流でしたが、2000年ごろからウレタン系素材のカバーが現れ、現在も主流となっています。これは多くのゴルファーにも既に認知されていることで、いわゆるスピン系ボールといえば、こうした軟らかいカバーを採用しているボールのことです。
その前提をもとに「X-01」と「X-01z」を例にとって、カバーとコアの関係を大まかに説明します。
「X-01」は、「X-01 MILD」の後継モデル。文字通り軟らかい打感が特徴のボールです。プロが使用するスピン系ボールなのでカバーはもちろん軟かく、コア部分もプロのヘッドスピードに耐えうる硬さを備えながらも軟らかめに作られています。
「X-01z」は、「X-01 SOLID」の後継モデルで、「X-01」に比べると硬めのコアを採用しています。アプローチでのスピン性能は、こちらのボールのほうがあります。「X-01 SOLID」愛用者で、ショートゲームが武器の宮里藍プロも「X-01z」にスイッチしたのはスピン性能の向上が大きな理由といいます。
つまり、「カバー:軟らかい + コア:軟らかい」(X-01)の組み合わせより、「カバー:軟らかい + コア:硬め」の組み合わせのほうがスピン性能は高くなるのです。
逆にカバーが硬くなるとスピン量は減るので、ドライバーの飛距離は見込めるようになります。もっともスピン量が減るのは、「カバー:硬い + コア:軟らかい」の組み合わせで、同社では「PHYZ(ファイズ)」ボールがそのカテゴリーになります。この場合、ドライバーは飛びますが、アプローチではバックスピンで止めることはあまり期待できないので、高さで止めるなどの工夫が必要になります。
以上は一例ですが、多くのボールは対象ゴルファーに合わせて、技術を駆使して、ボールの性能を決定します。ゴルファーは自分のプレータイプを理解して、それにあったボールを選択する必要があるというわけです。ドライバーの飛距離が欲しいが、ある程度アイアンやアプローチでスピンが欲しいといったゴルファーには、「カバー:やや軟らかい + コア:やや軟らかい」組み合わせの「V10」ボールがマッチするかもしれません。
ボールは、クラブ以上に進化したといわれています。
それは、上記のようなボールと性能の関係性がわかり、意図したボールを製造できるようになったためです。ボール選びに無頓着なゴルファーは多いですが、ボールが変わると距離感も狂いやすくおすすめできません。
自分のパフォーマンスが十分発揮できるボールを選び、継続して使うのが良いでしょう。