夫婦ゲンカで貯まるのは家族のストレスだけ
家計に貯蓄のできる仕組みを作る、その第一歩は、固定費の見直しという話をし家族でお金について話し合ってみましょう
再度、前ページの貯められない家庭、Aさんのマネーデータを見てみましょう。各支出は総じて高く、とくに趣味・娯楽費、こづかい、雑費で計10万円と、その支出額が目立ちます。聞けば、奥様はカフェランチと雑貨購入が趣味で、誘惑に負けてついつい支出を重ねてしまうとか。ファイナンシャル・プランナーの八ツ井慶子さんは、そういった意識を一刻も早く変えるべきとアドバイスします。
「今の状況では、カフェランチも雑貨の衝動買いも贅沢と思ってほしい。Aさんの家計には、収入が下がって、それなりにやりくりはしているものの、結局あるだけ支出してしまう、そんな印象を受けます。こういったカツカツ家計がこれからの増税時代、もっともきびしさを感じると思いますよ」
もちろん、家計には息抜きも必要。しかし、赤字になるような息抜きは、その優先順位をグッと下げる必要があります。自分を律する意識改革が、貯められない人により求められる時代なのです。
ではどうやって貯蓄意識を高めればいいのでしょうか。
「重要なのはモチベーション。将来こうしたいという目的を持つこと。家の購入でも仕事の独立でも、何でも構いません。すると、ときに我慢を強いる節約もプラス思考でとらえられます。ただし、貯蓄はひとりではなかなかできません。家族の協力、意識の共有がどうしても必要になります」
貯蓄に取り組む中、つい起こってしまうのが夫婦ゲンカだと、八ツ井さんは言います。家計は予算の取り合い。お前は使い過ぎている、私はこんなに節約している、とお互いが好き勝手に主張しては、貯蓄は進まず、残るのはストレスだけ。
「貯蓄で大切なのは3つのK。行動力、継続力、そして結束力です。アクションを起こさないと何も始まらない。そしてそれを継続しないと効果はない。さらに継続には家族の協力、結束が不可欠なのです。貯蓄は時間がかかるもの。ウルトラCはありません。しかし、やれば必ず効果は出ます。家計は決して裏切りません」
八ツ井慶子さん
ファイナンシャル・プランナー。大学卒業後大手信用金庫に入庫。本当にお客様にとっていいものを勧められる立場になりたいとの思いから、個人相談が中心のファイナンシャル・プランナーとして独立。近著に『ムダづかい女子が幸せになる38のルール』(かんき出版)と『サラリーマン家庭は"増税破産"する! 』(角川oneテーマ21)がある。テレビ、新聞、雑誌などでも活躍中。All Aboutマネーのガイドを務める
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取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ パネルデザイン/引間良基