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投資は10年スパンで考える<国際分散投資の心得>

毎日の細かい株価の変動や為替の推移を追いかけるよりも、長期的にどう経済が動くかを予測することが好きな人には、国際分散投資が向いています。そんな投資家に提案したいのは、10年単位で経済の流れを予測することです。

北川 邦弘

執筆者:北川 邦弘

はじめての資産運用ガイド

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投資で人が負ける理由は、早く儲けようと欲をかくことです。ですから、投資で勝つための法則はかんたん。時間をかけて投資をすればいいのです。どのくらいの時間をかければいいのか? 私は短くても10年と申し上げています。

過去10年の株価上昇のチャンピオンは?

では、過去10年間には、どこに投資をしていれば、もっとも効率良く増やすことができたでしょうか?2002年から、世界でもっともリターンの良かった国を並べてみました(米ドルベースでの比較)。
  • 2002年 韓国
  • 2003年 中国
  • 2004年 香港
  • 2005年 韓国
  • 2006年 中国
  • 2007年 インド
  • 2008年 日本
  • 2009年 インド
  • 2010年 ASEAN
  • 2011年 米国
  • 2012年 インド
おどろくことに、2011年のアメリカ以外はすべてがアジアの株式市場がワールドチャンピオンだったことです。この10年間は、完全にアジアの時代でありました。

これから10年の世界経済のリーダーは?

では、これから10年はどこに投資をしたらいいのでしょうか?私が期待しているのは、アメリカの復活です。ITバブルの崩壊にもめげず、同時多発テロにも屈せず、リーマンショックにもへこまずに、アメリカは経済のイノベーションを追求してきました。その成果が、まもなく新しいアメリカという姿で復活すると思います。キッカケは、不動産市況の底打ちですが、推進力はエネルギー革命です。アメリカのエネルギー革命は、シェールガス革命ともいわれますが、世界の経済地図を書き直すインパクトを持っています。シェールガスとは地中に堆積した頁岩(けつがん)に含まれる天然ガスです。最近になってアメリカでは採取に関する技術革新が飛躍的に進みました。市場価格は数年前の3分の1程度までに下がってきたのです。

そうしたなか、オバマ政権はエネルギー安全保障の面から、国内外からの原油依存を減らし、天然ガスの自国生産拡大へと大きく舵を切りました。今後はシェールガスの依存度が急激に増え、2035年には同国の天然ガス需要全体の49%に達すると予測しています。

世界の工場がアメリカに戻ってくる?

アメリカにおけるエネルギー革命は、石油よりも格安のエネルギーが手に入ることを意味しますので、アメリカの製造業がもう一度復活することが想像できます。時代の変化とともに、労働力の安い地域へ世界の工場は移動しました。アメリカ→日本→中国→東南アジア諸国と地球上を渡り歩いた工場は、今度はエネルギーコストという理由により、アメリカに戻りつつあるのです。ということで、これから10年間の世界経済のけん引者はアメリカとなることを予測しています。

アメリカを追撃する経済大国は?

そして、これから10年の後半には本格的にインドの時代が来そうな気がします。キーワードは勃興する消費市場です。人口抑制政策を取った中国では、意外と早くに人口の伸びが止まりますが、インドの人口の伸びは加速しています。2025年には中国の人口を超えて14億6,000万人となり、世界最大になると見られています。しかも、若年層が厚いのがインドの特徴で、拡大する労働人口により旺盛な消費がもたらされることが期待されています。

マクドナルドは、今年からインドに菜食主義者向けの専門店を、世界で初めてインドに開設する決断をしました。インドでは、牛肉を食べないヒンズー教徒と豚肉を食べないイスラム教徒が84%を占めているからです。私の10年予測は、アメリカの再興とインドの本格成長がメインテーマです。

みなさんは、どんなふうに予想されますか?経済をグローバルに見て、国際分散投資を楽しみましょう。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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