将棋×女性
男性ファンが圧倒的に多い将棋界。将棋に関わる団体の間で「女性ファンを増やす」というのは重要課題で、さまざまな取り組みがあります。2010年ごろから、「カフェで将棋を楽しむ」という女性が参加しやすいイベントや、女性だけの教室、女性だけの将棋イベント、将棋大会が増えてきました。将棋に興味を持つ女性が増加中
2011年のマンガ大賞を受賞した羽海野チカさんの人気作『3月のライオン』は中学生でプロ棋士になった少年を主人公に、個性の強いプロ棋士たちが魅力的に描かれています。同じく女性マンガ家の作品で、将棋に夢中になる男の子をその母の目線で描いた、南Q太さんの『ひらけ駒!』といった将棋マンガも人気で、将棋に興味を持つ女性が増加中。実際に将棋のイベントや教室、大会に参加する女性が少しずつ増えていて、女子将棋ブームが期待されています。
ヒット商品になった『どうぶつしょうぎ』は敵味方合わせて40枚の駒を使う将棋を、8枚の駒にして、駒の動きをライオン、キリン、ゾウ、ヒヨコ、ニワトリのイラストとマークで表し、簡単にしたゲーム。
女流プロ棋士の北尾まどかさんが考案したもので、ねこまどshopから販売されています。女性向けイベントや親子向けイベントでもよく使われています。 また、女性向けのおしゃれな将棋道具として開発されたのが『ショウギショコラ』。
女流プロ棋士の中倉彰子さんが企画考案し、日本女子プロ将棋協会と、天然木のおもちゃや家具の専門メーカー・WOODYPUDDYが共同製作しました。ショコラのような色合いで、ネイルをした女性でも持ちやすい立体的な形の駒と、ベロア調の布製の盤、収納用のポーチと、初心者にも分かりやすくまとめられた、将棋のルールの解説書がセットになっています。
女性向けの将棋教室も人気
日本将棋連盟では、東京将棋会館、大阪の関西将棋会館でレディースセミナーという女性将棋教室を開いています。若手イケメン棋士など女性に人気のありそうな棋士を講師にするなどの配慮も。他にも、各地で母と子どもをセットで教えてくれる将棋教室や、女性は割引料金で教えてくれる教室があります。子ども向け将棋教室でも、女の子は半額や男の子の2/3の額といった料金制度を取り入れているところもあります。また、将棋道場も、女性は男性より料金が安いのが一般的。禁煙など女性も入りやすくしている道場も増えてきました。
女流棋士の高橋和さんが主催するのは「shogiotome」という女性将棋教室。東京・下北沢のカフェを会場に、月に2回程度の頻度で行われています。駒の動かし方も知らない状態からスタートして、将棋のマナーや、戦い方をレクチャー。生徒同士や講師との対局で力をつけていきます。目標を持ちモチベーションを高めるため、将棋大会への出場を勧めています。
初心者大歓迎の女性将棋大会
将棋大会というと、男性ばかりや強くないと出られないという敷居が高いイメージがありますが、女性だけの将棋大会も頻繁に開かれ、ほとんどが初心者大歓迎。駒の動かし方を覚え、やっと将棋が指せるようになったというレベルの女性も出場しています。実力別に3~4クラスに分かれていて、最初のうちは一番下のクラス、そこで勝てるようになれば次は上のクラスに移っていきます。 女子アマ団体戦は上級者、中級者、初心者の3クラス制ですが、上級クラスが全4チーム、中級クラスが全4チーム、初心者クラスは全18チームと、初心者のほうが多いのです。
個人戦でも、日本将棋連盟主催の女流アマ名人戦、東京アマチュア将棋連盟とフェアリープリンセス共催のアマ女王戦、関西将棋会館の関西女流名人戦などがあり、いずれも棋力別4~5クラス制。バックやアクセサリーなどの賞品が上位入賞者から選べたり、旅行券などの豪華賞品があたる抽選会があったり。男性中心の一般の大会よりも、女性大会のほうがはるかにお得になっています。
一般大会にも女性の部が設けられている場合もあり、男性より安い参加費になっている場合がほとんどです。 また、男性に比べて、アマチュアの女性とプロの女流棋士との距離感が近いのも魅力。2011年に新設された女流プロ棋士の公式棋戦「リコー杯女流王座戦」は、すべての女性に門戸を開いている大会。東京と大阪で、アマチュア予選があり、そこを勝ち抜いた6名が女流プロの公式戦の出場権を得られます。
他にも、アマチュア女性枠が複数設けられている女流プロ公式棋戦がいくつもあります。大人になってから将棋を始めた女性で、プロ公式戦に出ている例も。強くなって将棋大会で出場クラスを上げていき、その先にはプロと同じ土俵で戦うことも視野に入ってくる。そんな、努力次第でいくらでも上を目指せる夢のある世界です。
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