石川尚のスケッチコラム「椅子のある風景」#27
石畳、アーチ、カンツォーネの調べ
どこにいても、「何気なくある椅子」が気になる。そして、その場所、空間の一部になりきっている風景がそこにある。
大理石と褐色の建造物で構成された街並。
人々が憩う噴水のある広場。
アーチをくぐりながら石畳の緩やかな坂路をのぼる。
路には華やかに軒を連ねる店々。
店先では、シッカリとした作りの木製テーブルと小さな背のスツールタイプの椅子が、開店前の静けさを演出している。
通常、テーブルの天板高は大体70cm、椅子の座高は43cmほどだが、ここにあるテーブル高は1m、椅子のそれは70cmと少々高い。
スタンドバーやカフェでよく見受けられる高めサイズの家具は、立ったままで飲み物を飲んだり、軽食をとったり、と便利で格好いい。
また、高めサイズのテーブル+椅子は、使用する素材によっては超モダンになったり、ここあるようなカジュアルなのもが多い。
テーブルにショルダーバックを置き、堅木の椅子に座る。
片足を椅子の足掛けにかけ、カフェで買ってきたエスプレッソを飲む。
カンツォーネ(イタリア民謡)の調べに混じって待ち合わせした知人らのにぎやかな声がアーチの下から聞こえてきた。
さて、ここはイタリア………いや、イタリアのヒルタウン(丘の上の町)をモチーフに計画され、以前丘の街・Sienaとテラスチェアでご紹介したようなイタリアの路地裏的雰囲気のあるLA CITTADELLA(ラ チッタデッラ)だ。
次のページではミニイタリア:LA CITTADELLAを紹介しよう。