テクノポップ/アーティストインタヴュー

アーバンギャルド~生き残るための音楽(3ページ目)

アーバンギャルドが3枚のシングルに続き、新アルバム『ガイガーカウンターカルチャー』を10月24日(水)にリリース、そして全国ツアーへと。「今」が詰まった生き残るための音楽。処女と童貞の心は失わないアーバンの二人、浜崎容子さんと松永天馬さんにインタヴュー!

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

バンドがアイドルする!

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病めるアイドル

ガイド:
『病めるアイドル』(2012日6月20日)を聴いていると、SPANK HAPPYが交差します。それは、曲や振り自体がSPANKSっぽいとかいう次元を超えて、SPANK HAPPYの岩澤瞳ちゃんは、僕の中で“病めるアイドル”の象徴的存在だからでしょう。
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病めるアイドル (YouTube)

浜崎:
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アーバンギャルド

『病めるアイドル』は、次作どうしようかと考えていたときに、今メンバー全員が「歌って踊る」バンドっていないなぁと、ふと思ったのです。
最初は我々レコード会社はユニバーサル所属ですからK-POP風に、と思っていた時期もありましたが、今年に入ってから「アイドル戦国時代」に追い風が吹きまくっていたので、これはやらなければいけないと変な使命感から作り始めました。
今の時代、種類だけは増えすぎて、ジャンルの垣根も線引きが難しい部分がありますし、「アイドル」だから「バンドだから」という境目なんてものも曖昧になってきている気がして。アイドルがバンド演奏したりしてね。だったらバンドがアイドルのように踊っても良いのでは? と思ったのです。

松永:
確かに「一週間マックを食べ続けると人を殺したくなる」とのたまった瞳ちゃんのドープさは、今のアイドルには絶対ないものですね(笑)。
『生まれてみたい』で一度服を脱いで、じゃあ何を着ようかなという時に、今度はいわゆる「バンド」の在り方を解体しようと思ったんです。昨今のアイドル戦国時代にあえて「便乗」、もっと言えば、それを「挑発」するためにPVでもライヴでも演奏陣含めてオケで歌って踊る、というこの曲を着想したわけです。結果、アイドルの仮装をしたってアーバンはアーバン、そしてオタ芸を習得したファンのテンション含め、血は更に濃くなりましたね。

リリースパーティとして平日5日間連続で開催した『病めるアイドル五番勝負!!!!!』では、BiS、でんぱ組.inc、Negicco、バニラビーンズ、ぱすぽ☆ら、今をときめく個性派アイドルたちとのツーマンライヴを展開しました。瞳ちゃんじゃないですけど、圧倒的にポジティヴな彼女たちとのツーマンを通して、アーバンのネガティヴさは際立ったと思います。いい意味でのネガティヴさって言ったら変な言葉ですけど。アイドルにできず、バンドにしかできないことってなんだろうって思った時に、このネガティヴさというのは絶対あるなと感じて、サブカルチャーに別れを告げ、カウンターカルチャーを標榜する2作に繋がっていくわけです。

ガイド:
ちなみに、歌詞の中にある「夜のPerfumeふりまいて」「夜のcapsule飲みほして」には、素直に反応しました(笑)。

松永:
香水をふりかけて、カプセルを飲みほして、隠微なダンスフロアで踊るあの娘こそ、病めるアイドルだったと思うんです。
あの娘はファッションモンスターなんかじゃない。あの娘……アーバンギャルドは、ファッションモンスターならぬファッキューモンスターであります。鼓膜につけるタイプの魔法だよ!

ガイド:
ちなみにYouTubeでクリップを観ていると、天馬君の股間が気になるという意見が書き込まれていましたが、メンバーから注意はなかったのでしょうか?

浜崎:
ユニバー○ルの社内では議論になったそうですよ(笑)……「あれは本物か?」「いやメロンパンを入れているのだろう」と。

資本主義の中に可愛くなれ!

ガイド:
ちなみにこのシングルのカップリング(アルバム未収録だから、シングル買ってね)では、本当のアイドル(ぱすぽ☆)を迎え入れて、「萌えてろよ」をやっていますね。実は、ぱすぽ☆は、エアラインのコンセプトが好きで(単純に言えば、スッチーの制服)、このコラボは僕にはストライクでした。あと、資本主義の基本が勉強できる歌詞も好きです(笑)。

浜崎:
先生、さりげない宣伝もありがとうございます。アルバム未収録ですのでシングルを是非!
先生はユニフォームマニアでもありますもんね。ぱすぽ☆さんの衣装はいつもカワイイです。一緒にコラボした時期のぱすぽ☆さんの新曲「Next Flight」のピンクの衣装は、こんな制服の航空会社があればよいのに、と思いました。女の子は資本主義の名の下に可愛くもなるし、恋もするし、夢も見るのです。

松永:
浜崎のデモを受けて、アイドルがオタの人たちの「萌え」文化を挑発する曲を歌ったら痺れるなあと、思ったのです。
資本主義を冷笑しながらも、資本主義に耽溺するのはPizzicato FiveからSPANKSに至るまでの作法ですが、テン年代はその皿に「萌え」のソースがからめられる。ヱヴァのプロジェクトが日経ビジネスに特集を組まれ、アイドルのファンミーティングが賑わう今日、あえて「萌え」を嘲笑したい(それは僕ら自身を自嘲することでもあるかもしれません。しかしながら……)。これ当欄では何度も言及してますけど、僕がアイドルとの仕事でやりたいのは、結局「アニーとボンボン」なんです! 無垢な子たちが無垢でないことを歌うとき、彼女たちは過剰にプラスチックになる。アイドル(偶像)になる。それは絶対的に「かわいい」。グローバルに「kawaii」。

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