ウィーン名物の路面電車が走るリンク通りには、19世紀半ばから世紀末にかけて建てられた豪勢なアパルトメントが並んでいます。そこに暮らした貴族や実業家のインテリア、テーブルセッティングを彩ったのが、中世からの伝統を受けついだウィーンの手作り工房でした。
ウィーンを代表するホテルザッハ。ザッハトルテが生まれたホテルです。
ハスプブルグ家お抱えの名窯「アウガルテン」
まず訪ねたのは「アウガルテン磁器工房(Augarten/ドイツ語サイト英語あり)」。ヨーロッパではマイセンに次いで2番目に古いブランドとして知られています。マリー・アントワネットの母でハスプブルグ家の女帝マリア・テレジアは、この工房を支援し専用の磁器を焼かせました。それが今も作り続けられている「マリアテレジア」シリーズです。もみの木をシンボルとして、狩猟の館であったアウガルテン宮殿で使うために作られました。この工房は一般の人もガイドツアーで見学でき、手作業で絵付けを行う職人たちの技を間近で見られます。ウィーンを訪れた際は、ぜひ立ち寄りたい場所です。
薄く割れにくいガラス器「ロブマイヤー」
ロブマイヤーのショップ。まるで宮殿のようです。
ここで人気なのはモダンデザインの先駆けといわれるウィーン工房で活躍した建築家・デザイナーの作品です。特にヨーゼフ・ホフマンの「パトリシアン」は、現在も多くのワイン愛好家の支持を得ています。手に持った時に全く重さを感じず、唇のあたりのやわらかさは、極薄ガラスでしか味わえない楽しみです。
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