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赤坂、坂が繁華街と住宅街を隔てる都心の街

赤坂(港区)と聞くと、夜のネオンやオフィスビルを思い出す人も多いでしょうが、高台には静かな住宅街が広がり、雰囲気の違う顔を持つ街。広い町内のうち、赤坂見附~赤坂~乃木坂各駅周辺を中心にご紹介します。

中川 寛子

執筆者:中川 寛子

住みやすい街選び(首都圏)ガイド

坂の下の繁華街、坂の上の住宅街、
2つの顔のある街、赤坂

赤坂見附駅周辺

外堀通りの向こう側は千代田区。写真では紀尾井町界隈のホテルが写っている

最初に今回取り上げるエリアをご紹介しておきましょう。赤坂という街は虎ノ門、六本木と接する1丁目から、東京ミッドタウンのある9丁目まであり、最寄駅も東京メトロ丸ノ内線・同銀座線赤坂見附から千代田線赤坂、同乃木坂、銀座線・半蔵門線青山一丁目、日比谷線・都営大江戸線六本木など複数に及びます。ただ、ここまで広いエリアとしてしまうと特徴が分からなくなるため、今回は赤坂2丁目から8丁目、駅では赤坂見附、赤坂、乃木坂と青山一丁目までを取り上げます。

 

●取り上げているエリアはここ
周辺図

今回取り上げるエリアは青山通り、外堀通り、六本木通り、外苑東通りに囲まれている。六本木通りを挟む赤坂一丁目は外し、六本木が最寄り駅になる赤坂九丁目(東京ミッドタウン周辺)は外してある


コロンビア通り

コロンビア通り。写真奥に見えているのが国道246号。一度下ってから再度上る、坂だらけの地形だ

飲食店が集中する赤坂見附、赤坂間を歩いているとなかなか気が付きにくいと思いますが、赤坂は外堀通りを底に東に向かって下がった地形をしています。国道246号(青山通り)を表参道から赤坂見附に向かうと、豊川稲荷を越えた辺りから急な下り坂になっており、かなりの高低差があることが分かります。また、青山通りから北に向かっても高低差があり、港区の赤坂支社から北に向かう坂(通称コロンビア通り)は、今は少し緩やかになっているものの、かつてはよく雪の日に坂の途中に停車した車がずるずる下がる事故などもあった場所でした。

 

三分坂

TBS裏手にある三分坂。坂の入り口には歴史を感じさせる塀が

25以上の坂があるという、地形の高低が土地の利用にも違いを生んでいます。多くの人が赤坂といって思い浮かべる繁華なエリアは主に低地にあり、そこから坂を上ると鬱蒼とした神社があったり、低層の高価そうなマンションやお屋敷がある、そうした異なる顔があるのが本当の赤坂なのです。

 

料亭が消えた赤坂に目立つものは
飲食店に駐車場、マッサージ店

赤坂御所

右手の濃い緑が赤坂御所。国道246号と御所から左右に土地は低くなっている

さて、赤坂が街として誕生したのは徳川家康の入府以降。幕府は赤坂の台地上に紀伊徳川家や大名、旗本の屋敷を配して江戸城の西の守りを固めたのです。当時の紀伊徳川家があったのが現在の赤坂御所、迎賓館のあるあたり。この高台では茜が多く取れたことから茜山と呼ばれ、そこから下る坂を茜坂と言ったのが転じて赤坂という地名になったとの説もあります。

 

料亭

今や料亭はほとんど残っておらず。大きなナイトクラブやディスコ、キャバレーなども姿を消した

明治に入ると赤坂は軍人の街になります。現在、東京ミッドタウンがある場所には陸軍第一連隊、TBSのある場所には近衛第三連隊など、大きな部隊が駐屯していたからで、この人たちが昭和初期までの赤坂花柳界を支えました。その後、第二次世界大戦の空襲で赤坂は一度焼けますが、霞ヶ関、国会などに近いこともあり、花柳界は息を吹き返し、バブル崩壊前までは黒塀の料亭の前の黒塗りの大型車が並ぶ風景がよく見られたものです。

 

韓国料理店

韓国料理店、中国料理店が目立つものの、和食、エスクックなどその他の種類の飲食店も豊富

残念ながら、現在の赤坂には飲食店は相変わらず多いものの、大半の料亭は駐車場やパチンコ店に姿を変え、現在目に付くのは韓国料理屋さんに中華料理店、そしてマッサージでしょうか。また、ここ10年ほどで小型のホテルも増加、街の雰囲気を変えました。もっと新しいところでは2008年にオープンしたTBSの赤坂サカスも赤坂の集客力アップに貢献しているようです。

 

築30年以上でも高値、
グレードも高いマンションが集中

高台

高台の住宅地。最近になってタワーも建てられるようになってきた

飲食店が集まる坂の下エリアとは異なり、住宅が集まっているのは千代田線が通る赤坂通りの左右に広がる高台です。1960年~1970年代にかけて建てられたマンションもありますが、築30年以上でも3.3平米(1坪)あたり、200~300万円という価値を維持しているケースもあり、利便性の高さが資産価値に結びついていることが実感できます。もちろん、築年数のあまり経っていない物件であれば、500万円近いこともあります。

 

住宅街

外苑西通りに近い住宅エリア。道自体は細く、くねくねと分かりにくい場所も少なくない

こうした住宅エリアは繁華な赤坂とは全く異なり、人通り、車の往来もほとんどなく、森閑としたもの。特に高台にいくつかある寺社境内に入ってしまうと、ここが都心ど真ん中とは思えないほどです。大使館、財界人のマンションと見まごうばかりの邸宅などもあり、緑の濃さも特徴です。

 

続いては気になる赤坂の住宅事情を見て行きましょう。
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