土地購入/土地購入関連情報

不動産トラブル事例-002 建築条件付土地購入時の質問(2ページ目)

建築条件付土地を購入する時に、不明な点がいくつかあります。読者からの質問に対して回答させていただきます。

執筆者:平野 秀昭

回答

まず最初に、貴殿がご契約された「建築条件付宅地」についてご説明しておきます。本来、不動産売買において売主がその土地に建築条件を付すことは、独占禁止法第19条に規定する不公正な取引」にあたり優越的地位の濫用として禁止されています。しかし、相手方の保護として、

■土地売買契約締結後3ヶ月以内に建築請負契約を締結すればよいこと。
■売主または売主の100%出資子会社若しくは売主の代理人と請負契約を締結すること。
■条件どおりに請負契約が成立しないときは、売主が受領した金銭(名目に関係無く)を速やかに返還すること。

以上の三つの条件を満たせば独禁法に抵触しないとされています。

そこで本件ご質問の内容を検討させて頂きますと、種種の問題がありそうですから順不同でお答えさせて頂きます。

4(契約書に建物価格込みのローン金額が記載されている)
本件契約はあくまでも建物請負契約締結を停止条件とする土地売買契約であることから、売買契約書に建物の価格が反映されていることは本件契約が建売形式の青田売り(売り建て形式とも呼ばれる)との疑いがあります。この場合、請負契約の本旨に関わらず、注文者の要望や自由な選択の権利を制限され、本来の目的を達成し得ない恐れがあります。ローン特約に約定される金額はあくまで土地購入を対象とした限度とし、建物請負金額の確定後、土地売買契約書及び建物請負契約書案をそろえて金融機関へ融資の申込をすべきです。

3(ローン特約の期間が一ヶ月)
貴殿ご推察のとおり、本件契約が停止条件付土地売買契約であるため条件となる建築請負契約締結までの期間が3ヶ月とされていますので、本件に付随するローン特約の期限が一ヶ月との約定は、契約の締結に関する行為または申込の撤回若しくは解除の妨げに関する行為として宅地建物取引業法で禁止されている行為にあたり、無効と考えます。
(宅地建物取引業法47条の2第3項、同施行規則16条の12のロ)

2(重要事項の説明において建築条件の説明がない)
重要事項の説明については、宅地建物取引業法第35条にその説明すべき事項(最低限度)が規定されていますが、本件取引における建築条件は前述したとおり、当該土地売買契約の停止条件に他ならず、条件の成否が契約の効力を左右する重要な要素となります。従って、法35条第1項7号に定められた「契約の解除に関する事項」にあたり、必須の説明事項と考えますので、当該重要事項の説明をなした業者(仲介者または売主)に法35条違反が考えられます。しかし、本件ご相談の内容から、当該建築条件につき貴殿が他の方法により説明を受け、当該契約の十分な理解(全く知らなかった場合を除き)をお持ちであれば、説明をした業者の不法行為責任を追及することは難しいと考えます。

1(位置指定道路の掘削)
建築基準法に規定される道路に特定行政庁から位置指定を受けた私道があります(建築基準法第42条1項5号)。本件ご質問の私道も位置指定道路とのことですが、私道と言えども建築基準法に規定された道路ですので水管、下水道管、ガス管その他これに類するものの施設(掘削等を含む)には、道路管理者の許可(道路占用の許可、道路法第32条)が必要となりそうですが、道路法によれば私道は含まれず(道路法第3条)、本件ご質問の位置指定道路も行政庁への許可は不用です。であれば許可申請のための添付書類としての所有者承諾書及び印鑑証明書は必要ではなく、共有する前面道路の所有権の侵害を他の所有者から主張されないために(トラブル防止)、予め共有者全員の承諾を得ておく対抗手段と考えます従って、本件ご質問の実印の押印並びに印鑑証明書の添付は共有物の使用及び共有物の変更について定めた私法上の慣習的手法と考えます。(民法第249条、251条)

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