競馬の世界一決定戦「凱旋門賞」とは?
様々なスポーツにおいて最高の盛り上がりを見せるのが、世界一を決める戦い。W杯やオリンピックなどがその代表ですが、競馬にも世界一を決めるレースが存在します。毎年、10月第1日曜日にフランスで行われる凱旋門賞(芝2400m、ロンシャン競馬場)です。競馬の凱旋門賞を勝つことは、サッカーのW杯を勝つようなもの。世界一を目指してあらゆる地域の競走馬が凱旋門賞を目指すわけで、日本からも数多くの馬が凱旋門賞に出走してきました。2012年にはオルフェーヴルという日本馬が挑戦し、優勝を狙える位置にいると注目を集めています。
とはいえ、競馬のレースは、あらゆる国であらゆる時期に行われています。その中でなぜ、凱旋門賞が世界一を決めるレースなのか。その理由を紹介しましょう。
「凱旋門賞」がその年の世界王者を決める理由
競馬は、世界の中でもイギリスとフランスでいち早く行われ、この二国を手本に各国に広まりました。そして、世界中で「イギリスやフランスの馬にも勝てる馬を作りたい」と発展していきました。そのため、ほとんどの国において、競馬のルールやシステムは、イギリスとフランスにならって決められています。たとえば、ヨーロッパやアジア、オセアニアやアフリカなど、世界中の国の競馬が芝コースを使って行われるのも、この二国を手本にしたためです。
競馬のレースは1000mから4000mのものまで様々な距離で行われ、各部門でチャンピオンを決める機会が存在するのですが、なかでももっとも栄誉とされるのが2400mのチャンピオン。
これは、「同じ年に生まれた競走馬の中でもっとも強い馬を決めるレース」として作られたイギリスダービーとフランスダービーが長い間2400mで実施されたためで、日本を含め多くの国がこれを見ならい、自国のダービーを2400mで行うようになりました。
つまり、競馬を行う国のほとんどは2400mのレースで強い馬を作ろうと努力しているわけで、言い換えればその国の2400mにおけるチャンピオンは、国のトップに位置する一頭といえるのです。
凱旋門賞が行われるのは、芝コースの2400m。さらに、先ほど挙げたダービーのように同じ年齢の馬だけで戦うのではなく、色々な年齢の馬が出走できます。となると、まさに「今、一番強い馬を決めるレース」にふさわしい条件で、しかも舞台は競馬の中心地であるフランス。レースには当然イギリスやフランスの最強馬が出走してくるわけで、それに勝てば競馬後進国の念願が叶います。
1920年から始まった凱旋門賞ですが、こうした背景もあり、様々な国が「凱旋門賞制覇」を目指すようになりました。これが「世界一決定戦」とされる理由です。
日本も「凱旋門賞制覇」を目指し、長年挑戦を続けてきた国のひとつです。次ページでは、凱旋門賞に挑戦してきた日本馬の歴史を振り返ります。