バブル女は二枚舌でコスプレ、団塊ジュニアは去勢されて草食化?

主婦

良妻賢母がよしとされた時代、専業主婦はオンナの憧れだった

しかし長らく母たるもの、オンナを必要以上に感じさせるのは御法度であった。それは良妻ではなく賢母でもないという価値観であったので、バブル母御用達ファッション誌の先駆けである雑誌『VERY』なんかは、創刊後10年ほどは二枚舌外交を地でいっていた。バブル女たちが専業主婦としての日常生活でエルメスを見せびらかして歩くのをよしとするブームを作りつつ、一方で受験や姑視線を意識した「母としての装い」「母としてのメイク」など「良き母」というジャンルのコスプレを奨励していたものである。

そしてそれは当時のオンナの勝ち組の姿でもあった。オンナの「勝ち」は、寿退社と専業主婦生活と経済的余裕とそれによって入手可能な有形無形のブランドであり、そのためには、TPOに応じて出したり隠したりする攻撃的なオンナ性が不可欠だったのである。

しかし現代のママ雑誌には、かつてのVERYのようなわかりやすい上昇志向は見られない。ファッションや暮らし方は同性にも異性にも年配にも満遍なくウケるようフェミニンではあっても、自分の力を誇示するようなものではない。攻撃性は性リビドーと表裏一体だと考えるなら、現代の母たちの生き方はすっかり去勢され、安定したように見える。その代わり、奇妙な動きが始まった。リビングルームのティッシュ箱やらをキラキラにデコる活動に始まり、家族のためと称しつつ大メーカー企業の商品開発室に匹敵しかねない比較研究を家庭の台所で繰り広げ、母親界が何らかの別の地平を目指して走っている感じがフツフツしている。

若い母たちは「武器を持ち替えた」

バブル女たちは、時代の発情に乗って母親になり、『VERY』から『STORY』へと継承されステップアップする母親文化を築いた。一方で現代の、団塊ジュニアが大きな一角を占める母親文化は去勢されたのだろうか。いやそれは、若い母たちが別の武器に持ち替えたのだと、私の目には映る。それぞれの女たちが、自覚するにせよしないにせよ、自分なりの「勝ち」を目指している。生き物だから当然だ。「よく生きる」とは「よく生き残る」こと、つまりサバイバル。氷河期で打ちのめされた団塊ジュニア以降こそ、体の芯で知っているはずだ。

バブル女のように男の価値観の枠組みの中、オンナ性で自己実現し、オンナ性と引き換えに「より有利な社会契約」を手に入れたはずの女は、生物学的な限界を迎えた時に破綻する。「オンナ性」という武器は生涯有効ではない、ならば安定性の高い武器に持ち替えた方がいい。その武器とは、「一度手に入れた家族を安定的に運営するためのマルチタスクな才覚と研究努力」である。武器を持ち替えた若い母たちは、同じような文脈で同じような武器に持ち替えた若い父たちと一緒に、自分たちの小さな家庭、「居場所」を安定的に運営しているのだ。

>> 所有されることがゴールとなる、そういう文化も存在する