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空き巣被害体験から 住まいの防犯性について考える

住宅では安心・安全が大きなテーマ。近年は耐震性が特に注目されていますが、もう一つ大切なポイントが防犯性能です。そこで、私や私の家族が体験した空き巣被害の様子をご紹介しながら、住まいの防犯のあり方やトレンドを確認したいと思います。

田中 直輝

執筆者:田中 直輝

ハウスメーカー選びガイド

今回は住まいの防犯に関するお話です。近年、凶悪な犯罪が相次いでいますから、住まい選びで防犯は一つの大きなテーマになっています。しかし、具体的にどのような対策があるのかは、意外に知られていないように思います。ここでは空き巣対策をメインに、これから住宅を新規に建築・購入をされようとしている方々はもちろん、現在お住まいの住宅でも可能な防犯性能を高める工夫もご紹介したいと思います。

窓とドアに集中する空き巣被害!

実はこの防犯性能のお話をするにあたって、私にとっては少々苦い体験をご紹介することから始めたいと思います。私と私の実家でこれまで何度か空き巣に入られたことがあるのです。それは入られた者にしかわからない、何とも情けない、悲しい出来事です。

ガラス

窓ガラスには様々な種類がある。その中でよく誤解されているには鉄線入りのガラス窓。鉄線が入っているのは防火上の配慮で、火事の際に割れにくくするものであり、防犯面ではあまり効果がない(クリックすると拡大します)

私の実家が空き巣被害に遭ったのは、10年ほど前のこと。父が外出し、母と愛犬が散歩に出かけている約30分の間に犯行が行われたそうです。勝手口のドアをバールのような道具でこじ開ける手口。被害は父のヘソクリ10万円ほどと、母が集めていた貴金属品でした。

警察に届け、指紋を採ったりしたそうですが、犯人は結局見つからず。今でも実家に帰ると、家具の一部に指紋採取のためのアルミ粉の後が残っています。それを目にするたび、今でも母は思い出の品(大層な物ではなかったようですが)を失ったことを思い出し、残念な気分になるようです。

もう一つ、私自身のケース。社会人になって住んでいたのは賃貸マンションの1階でした。その1階の窓ガラスが割られ空き巣に入られ、当時付き合っていた彼女からプレゼントされた時計やゲーム機などを盗まれた経験があります。

その時も警察に被害届を出しましたが、警察の捜査は型通りのものだけで、指紋採取などはなし(警察の名誉のため申し上げておきますが、当時、私は忙しく捜査に立ち会う時間がなかったのです)。ただし、「この辺りは最近、空き巣が多いんだよね。もっと注意した方がいいですよ」と、何だか空き巣に入られた私が悪い、というような対応だったことを覚えています。

割られたガラスは保険で賄えましたし、その後、その彼女とも間もなく別れましたので、大きな被害ではなかったのですが、やはり後味が悪かったですね。で、このような身内の恥ずかしいお話をご紹介するのには、実は訳があります。それは、この二つの事例が空き巣の典型的な手口だからです。

開けにくいカギ、割れにくいガラスがポイント

要するに、ドアと窓(サッシ)の防犯性能の強化が空き巣に対する対策として非常に重要だということです。具体的には、ドアについてはダブルキー(ドアに2ヵ所カギをつけること)、ピッキング・サムターン回し対策を行うことがあげられます。

電子ロック

電子ロックを採用したドア。近年はスマートハウスのHEMSと連携し、スマートフォンなどで施錠状況を把握できるタイプのものも登場している(クリックすると拡大します)

カギを差し込んで回す部分(シリンダー)に特殊な工具を入れてドアを開けることをピッキングといいます。要するにその作業を難しくするカギが必要となるわけです。これらに対応するものとして、具体的にはディンプルキーや電子錠ロックなどが開発されています、それらを採用すると良いでしょう。

サムターンとは(ドア内側の施解錠操作のためのつまみ)のこと。手口はピッキングとほぼ同じですが、これはサムターンのつまみの部分にスイッチを押さないと解錠できない仕組みのものがあり、これが有効な対策となります。また、当然、こじ開けが難しい丈夫なドアとすることも大切になります。

一方、窓の防犯配慮としては割れにくいガラスを採用することがポイントとなります。空き巣の多くが窓を割って、サッシを開けて侵入することが多いからです。現在では、窓ガラスを割りにくくする防犯合わせ複層ガラスが、防犯対応として採用されるケースが増えています。

さらに、窓に格子や防犯シャッターを取り付けることも有効的。ただ、防犯シャッターは風の通りを遮断するため、夜に窓を開けて眠りたいなどという方にはお勧めできません。ですが、最近はブラインド機能のある防犯シャッターも一部で登場しています。

さて、このような防犯配慮がされている部材には規格があります。それを「CP部品」といいます。次のページでは、このお話から進めていきます。
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