ただし、マッチング拠出の利用率を向上させるためには、説明会等で制度の魅力をしっかりPRすることが大切です。すでにマッチング拠出を導入した企業でも利用率に大きな違いが見られており、これは社員の理解度(おおむね会社の説明努力のボリュームに比例する)が影響しています。せっかく採用する制度ですから利用が高まるような工夫をしたいところです。
会社がマッチング拠出をスタートさせたら社員のあなたはどうするか
今度は、立場を変えて考えてみます。もし、あなたが社員の立場であって、会社がマッチング拠出の説明会をするとしたら、どう考えればいいでしょうか。まず、利用を前提に、説明会の話を聞いてみて欲しいと思います。というのも、これほど強力な優遇税制は他にあまりないからです。たとえば、10000円を会社から受け取ったとします。所得税が10%に住民税が10%とすれば、実質的手取りは8000円です。税金が取られるのは当たり前だと思うかもしれませんが、マッチング拠出をし確定拠出年金口座に入金すると10000円がそのまま残るのです。これはつまり、運用をスタートする段階で20%トクしているようなものです。
また、それぞれ1年後に5%増えたとします。手元で8000円であったお金の利益は400円ですが、運用益や定期預金の利息には原則20%課税される仕組みですので320円しか残らず、8320円になります。確定拠出年金の中に入れておいた10000円はどうかというと、500円の利益がそのまま手元に残り、10500円となります。
なんと、元は同じ10000円であったはずが、手元で増やすか確定拠出年金で増やすかの違いだけで、8320円と10500円と大差がついているのです。すでに26%もの違いになってしまいました。これがマッチング拠出の非課税メリットの凄さです。マッチング拠出が利用可能である、ということは、お得な老後資産形成口座ができた、ということでもあります。ぜひ前向きに考えてみてはどうでしょうか。ただし、確定拠出年金の口座は60歳まで解約できない原則となっていますので、子どもの入学金や住宅ローンの返済資金まで入金しないように注意してください。
まとめ:マッチング拠出の妙味を利用してみたい
会社にとっては、マッチング拠出は「割のいい福利厚生」です。確定拠出年金の制度を拡充するだけで、社員に大きな魅力を与えられます。しかも、会社が実際にお金を負担するわけでなく、社員に負担をさせるわけですから、ディズニーランドのチケットを全社員に配るような実費のコストはかかりません。税制優遇は国が与えるのでこれも会社の負担になりません。会社の担当者としては、マッチング拠出の採用を考えてみてはいかがでしょうか。
個人にとっては、税制優遇のある資産形成制度は数少なく、特に会社員が利用できる制度は財形年金くらいしかありませんでした(利息のみ非課税)。これだけ老後のお金の不安が高まっている時期に、これほど魅力的な制度が誕生したわけですから、前向きに利用を検討してみるべきだと思います。自分の老後のために自分のお金を積み立てると自分に税制優遇がつくわけですから、お得ですよね。
あなたの会社でマッチング拠出がスタートするなら、ぜひ利用を考えてみてはどうでしょうか。