ATでもドライビングを楽しめる
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ボクサーエンジンや専用の新開発プラットフォームにより、欧州スーパースポーツに匹敵する460mmという重心高と最適な前後重量配分を実現する超低重心パッケージングを可能とした
発売から半年が経ち、街でも頻繁に見かけるようになってきたBRZを、あらためて試乗しました。個人的にもBRZは、筆者の本気で欲しいクルマリストに入っている1台です。手頃な価格で扱いやすいサイズ、適度なパワーで、何よりもFRの駆動方式が魅力。デザインもスタイリッシュで、実用性がまずまずなところもいい。そう思った人は大勢いたようで、納車まで数ヶ月待ちという状況が依然として続いているようです。
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メーターは速度計ではなくタコメーターが中央に大きく配置されているあたりも、スポーツカーとしての主張が。365mmと小径のステアリングホイールはグリップの硬さの最適化や専用断面の採用などにより握り心地を追求
ひさしぶりに乗るBRZの横幅のやや大きいドアを開け、低いシートに収まった瞬間から、BRZは特別感に満ちています。走りを予感させる、この低いポジションが、まずポイント。そして、ダイナミックなデザインのインパネや、ブラックで統一された中でレッドに光るメーターなど、視覚的にも高揚感を与えてくれます。
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バンパー下部のディフューザー形状により、高い空力性能と軽快感を表現
今回ドライブしたのは、上級の「S」グレードの6速AT。ドライビングを楽しむならMTに限ると思われがちですが、BRZはATでも十分に楽しめるところもポイント。それはMTに対して遜色ないほどダイレクト感があるから。アクセルを踏み込めば、そのとおりに加速し、それがコーナリング時なら、テールスライドしそうになるほど。
普通、ATでは「なまし」が入るような感じなって、反応が鈍くなってしまうところ、BRZのATはその感覚が薄いのです。もちろんVSCが作動するので危険な状態になることはないものの、そのくらいダイレクトにつながっている感覚があります。
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6速ATにはパドルシフトやブリッピングコントロールを採用。応答性を高めたSPORTモードや任意のギヤを選べるMモードを設定。拡げる横滑り防止装置はスポーツモード付きで、状況や好みにより5つのモードに切り替え可能
さらに、マニュアルシフト時の変速レスポンスが非常に良いことも特筆できます。そういえば、別の機会にサーキットでATをドライブしたときにも、MTと同じように振り回して楽しめて感心したことを思い出しました。
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BRZの価格は、SグレードのMTが279万3000円、ATが287万1750円。RグレードのMTが247万8000円、ATが254万6250円