選ぶなら変換効率より実発電量に注目
「実発電量」とは、太陽光パネルを設置したときに実際に発電した値のことです。これがわかれば、実際にどれだけ発電するかの目安がより正確になり、売電価格を計算することで設置費用がいつ回収できるかも、より正しく計算できるはずです。この実発電量のデータは、実際にシステムを設置して調査しなければならないため、一般ではなかなか調べることができませんでした。ところが「SBエナジー」が、国内外の10社の太陽光パネルを自社の実験場に設置して採取した各社の太陽光パネルの発電量データを、今年の1月から、ホームページにリアルタイムで公開するようになりました。ほぼ同じ条件下のデータなので、比較すると、どのメーカーの太陽光パネルがより多く発電するかが一目でわかります。そこで、屋根面積を30m²として試算してみました。
SBエナジー帯広実証実験データを活用した実発電量表
※設置費用は「J-PEC 太陽光発電普及拡大センター」のデータを参考
SBエナジーのデータによると、実発電量についてはソーラーフロンティアが一番多く、初期費用も安いため、初期費用の想定回収年数がより早い結果となっています。
実発電量については、実際に採用した人の実測値を見るのもよい方法ですが、自分の家の条件(地域、設置面積、方角など)に近い事例を参考にするのもよいでしょう。
システムの違いで導入コストも変わる
さらに、太陽光発電はシステムに用いる太陽光パネルの種類や、枚数によっても性能は異なります。これまで、太陽光発電システムに用いられる太陽光パネルは、シリコン系がほとんどでした。最近では、CIS系の太陽光パネルも販売されていて、注目を浴びています。これまで主流だったシリコン系の太陽光パネルは、相対的に変換効率が高く、供給過剰ゆえに価格もこなれてきているという印象があります。対してCIS系の太陽光パネルは実発電量が多く、投資回収期間が相対的に短いという利点があります。
CIS系の太陽光パネルは、高温に弱いシリコン系に比べて高温時の出力ロスが少ないことや、太陽光パネルの回路構造の違いから、シリコン系に比べて、太陽光パネルの一部に影がかかっても太陽光パネル全体の出力が低下しにくいこと、太陽光が当たることで初期に実際の出力が上がることなどの特徴があります。
保証やメンテナンスも調べておこう
実発電量を知ることで、比較的正確な費用回収期間がわかるようになりますが、回収費用を性能面だけで考えるのは少し危険かもしれません。なぜなら太陽光発電システムは長期に亘って使用するものなので、設置後のアフターケアも重要だからです。設置後のメンテナンスや、太陽光パネルの経年変化による出力低下など、考慮しておかなければならないポイントがあります。設備機器の不具合や出力低下については、保証を設けているメーカーがあるので、こういった点も考えてメーカーを選んだほうがよいでしょう。例えばソーラーフロンティアは、モジュール20年保証の提供に加えて、この保証に関するサービス運営の体制を評価する新認証「JETPVm認証(JIS Q 8901)」を他社に先駆けて取得しています。この他、ほぼ100%日本で製造している唯一のメーカーであることや、親会社が昭和シェル石油という大手エネルギー会社であることも安心感があるといえるのではないでしょうか。
さらに、保証期間や保証範囲についても、必ず、事前に確認しておきましょう。また、定期点検の有無や回数、有料か無料かなどについても調べておきたいところ。さらに、パワーコンディショナや接続箱など、必ず必要な機器の寿命などについても、事前に確認しておきましょう。
太陽光発電は、まだまだ大きな買い物です。太陽光発電普及拡大センター(J-PEC)によると、太陽光パネルの設置費用は、1kW当たり新築で45万2000円、既築で51万1000円(平成24年度)で、平均で新築が4.14kW、既築が4.71kWの太陽光パネルを設置しています。これをもとに計算すると、1軒の住宅で、新築は平均187万1280円、既築は平均240万6810円の費用(※)をかけて太陽光発電システムを採用していることになります。これは自動車を購入するのに匹敵する出費。
※編集部注:国の補助金(平成25年3月29日まで申込みが可能)を考慮すると、上記平均設置容量に対し1軒の住宅で、新築は平均172万6380円、既築は平均226万5510円での設置が可能。
導入後に後悔しないためには、さまざまなデータが公表されているインターネットなどを活用して情報を収集し、メーカーや製品、条件による違いを理解し、その中から自分に合ったメーカーを探すことが肝心です。
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