歴史上の人物の名前をつけるときに、気をつけておきたいこととは?
偉大な業績のある歴史上の人物と同じ名前をつけたいと思っていますが、詳しく調べるうち、その人が同性愛者だということを知りました。名前自体は気に入っているのですが、こういう場合はやめたほうがいいでしょうか?
A:
人物と名前のどちらに比重があるか、という問題です。有名人や歴史上の人物など、好きな人物と同じ名前にするのを「あやかり名」といいますが、それは名前そのものの好みとちがいますから、あとでその人物のイメージが変わったとき後悔する人もいます。ましてやつける段階で何か心にひっかかるというのは、あまりよい名づけとはいえません。
しかし名前そのものが好きな名前であるならば、それは正直な名前の好みですから、堂々とおつけになればいいことで、たまたま同じ名前の人がどんな生き方をしていようが、まったく気にする必要はなく、後悔することもないはずです。
歴史上の人物の名前をつけていい?あだ名のように聞こえることも
歴史上の人物にあやかったと思われる名前の中で、飛びぬけて多くつけられるのは何と言っても「竜馬」です。坂本龍馬と同じく旧字の龍馬の字にしたり、リョウマと読ませる人もいますが、多くの場合は新字の竜の字のほうが使われ、読み方もリュウマと読ませています。つぎに多いのは女の子の寧々(ねね)という名前ですが、これは大河ドラマでもよく登場する、豊臣秀吉の妻のネネという名前からと思われます。そのつぎによくつけられるのが武蔵(むさし)という名前です。このほかには歴史上の人物と同じ名前というのはあまりつけられませんが、音楽の好きな人が滝廉太郎(れんたろう)と同じ名前を候補にあげることもあります。息子を医者にしたいとの願いから、野口英世(ひでよ)と同じ名前が候補に出されたこともありますが、ただ一般人がこの名前を使いますと、男女を間違えられる可能性はあるでしょう。また10年ほど前ですが、武尊と書いてタケルと読ませる名前が少し流行した時がありました。何の影響かわかりませんが、歴史に出てくる日本武尊(やまとたけるのみこと)は特殊な読み方の名前ですし、武尊の部分を抜き出してもタケルとは読めません。
また非常に少ないですが、過去の命名相談では、信長(のぶなが)、信玄(しんげん)、秀吉(ひでよし)、義経(よしつね)、弁慶(べんけい)、卑弥呼(ひみこ)、などといった候補名も出されたことがあります。また歴史上の人物ではありませんが、小説や昔話に登場する三四郎(さんしろう)、桃太郎(ももたろう)、金太郎(きんたろう)、佐助(さすけ)、才蔵(さいぞう)、紋次郎(もんじろう)などの名前も候補に出されたことはあります。このように、あまりに知られすぎていて、しかも滅多につけられないような名前にしますと、本名でなくあだ名のように聞こえてしまう恐れはあります。以上のように、歴史上の人物の名前をまねること自体を一般論で良い、悪いとは言えませんが、うかつにまねないほうがいいというケースはあるでしょう。
歴史上の人物がみな偉人とは限らない
歴史上の人物というのは、もちろん人によって評価が違い、好き嫌いも分かれます。またその人物に関する情報が増えるに従って、自分の見方も変わってくることがあります。確かに学校の教科書などでは、その人の功績だけが強調されていますが、だからといって最初からあまりに美化して名前をまねるというのも考えもので、名前だけ同じにしても、同じ功績を作れるわけではありません。歴史上の人物をよくよく調べれば、精神疾患をかかえていたり、アルコール依存症であったり、家庭内が荒んでいたり、人間関係で問題を起こしていたり、最後には自殺したり、とにかくいろいろな人がいるのです。名前をまねるにしても、あくまで名前そのものが気に入ってつける、ということでなければ、あとで後悔することにもなりかねません。【関連記事】